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竜のもうひとつの瞳
第七章〜おつかいを頼まれて〜
第三十三話
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きな兜。アレをオクラと表現しているのならば、全て納得出来る。
確かにオクラだ。間違いない。

 「……その方が長曾我部の間者か?」

 「違います。私は毛利元就様に書状を預かってきた者です」

 「我に書状だと?」

 やっぱりこの人がオクラ……じゃなかった、毛利元就か。

 私は懐に入れていた書状を取り出して毛利に差し出した。それを兵がすかさず取って毛利に渡している。

 一通り書状に目を通した毛利は、特に何も言うことなく私を解放するようにと指示をした。

 「……使者殿、こちらの手違いによる捕縛であった非礼を詫びよう。書状の内容は分かっておるか?」

 「いえ、中を改めるなとのことでしたので」

 「であろうな。この書状の中身を知っておったら、わざわざここへは来なかったであろう」

 ……それって、どういう意味ですか?

 読めと言われて差し出された書状を手に取り、一通り目を通してみる。
そこには織田信長が討たれた後、豊臣は安芸との同盟を締結したい旨が書かれている。
それだけならば良いんだけど、最近毛利家が頭を悩ませているという問題を解決するための
助っ人を送るということもしっかりと書かれていた。

 助っ人って……どう考えても私のことだよねぇ……。

 あの野郎、私を駒にしやがったな?
キスされてラッキーとか思った私が純粋に馬鹿だった……畜生、二度と策士に揺らぐもんか。
っていうか、手紙届けるだけなのに嫌に気前が良いなって思ったのはこの為だったわけね。
くそ、嵌められた……。

 いやいや、ちょっと待ってよ。それよりもいろいろと辻褄が合わないでしょうが。
だってこの書状を持たされた時、竹中さんは秀吉と出会ったばかりだったんだし。
それに豊臣秀吉じゃなくて“羽柴”秀吉って名乗ってたわけだし……豊臣と組みたいってのはどう考えてもおかしい。

 ……ん? 待てよ? もしかして、私が知らなかっただけで裏で何かしらのやり取りがあったってこと?
そうだよ、考えてもみればいきなり現れた人間に誘われたからってホイホイ付いて行くような人じゃないじゃん。
結構慎重な人だったし、実際に現れるまでの間に何らかのやり取りがあって、
稲葉山城を落としたところで迎えに行く手筈になっていたとしたら、予めこの書状は用意されていたということ……?
しかも羽柴から豊臣に変わることを知った上で書いているってことは、相当な情報を得ているってことよね。

 それに行き当たった瞬間、何だか酷く疲れたような気がしてならなかった。
使者を送ることは決定事項で、実際に送る手駒を誰にするかを決めかねていたところだったんだろう。
そこに私のようなお人よしが現れて、こうして手紙を届けるだろうって分かっていたから利用し
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