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ソードアート・オンライン 穹色の風
圏内事件 6
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を喰らったような強烈な衝撃。

「ぐ、がぁッ!?」

 麻痺状態のため受身が取れないシュミットは、全身をあちこちにぶつけながら丘を転がり落ちる。遂に奴等が手を下したのかと考えたが、そうではなかった。朦朧(もうろう)とした意識を必死で繋ぎとめながら頭をもたげると、PoHたち三人までもが同じように吹き飛ばされていたのだ。
 では、誰が……?
 シュミットの疑問に答えるように、空色の軌跡が目の前をよぎった。音もなく、幾度とないモンスターとの戦闘で磨かれたシュミットの動体視力ですら見切れないほどの速さで突如現れたそれは、シュミットの目の前でこちらに背を向けて停止する。

「……久しぶり、だな」

 《穹色の風》マサキはこんな状況だと言うのに一欠けらの動揺すら感じさせない声で呟くと、視線だけでシュミットを一瞥し、月の光を受けて青白く(きら)めく刀を三人の殺人鬼に向けた。



「……久しぶり、だな」

 背後で倒れているシュミットにチラリと目をやりつつ、起き上がった三人にマサキは蒼風の切っ先を向けた。今にもシュミットが殺されそうな状況だったため、《神渡し》で奴等をシュミットたちから引き剥がそうとしたのだが、成果は上々といったところか。巻き添えで吹き飛ばされたシュミットやヨルコたちには悪いが、救援に来たということで相殺してもらうしかない。もっとも、客観的に見れば、感謝されこそすれ非難される謂れはないが。
 視線を三人の殺人鬼に戻す。その人相は相変わらずマスクやフードで隠れていたが、溢れんばかりの怒気と殺気が、隠れている彼らの表情はきっと愉快な笑顔ではないだろうと推測させた。

「ンの野郎……余裕かましてんじゃねーぞ! 状況解ってんのか!」

 上ずった声をキンキンと響かせてジョニー・ブラックが怒鳴るのを、PoHの左手が制した。そのまま一歩前に出ると、右手の肉切り包丁の背で自分の肩を軽く叩く。フードの下に覗いた口元には、自分たちの余裕と優位を見せ付けるような笑みが張り付いていた。

「こいつの言うとおりだぜ、《穹色の風》。いくら貴様でも、俺たち三人を一人で相手できると思ってるのか? 言っとくが、俺たちは貴様がヤった奴等ほど弱かないぜ? ……ああ、それとも――」

 ニィ、と。意地悪く笑っていた口角が、一層激しく狂気に歪んだ。

「――大事な大事な相棒が死んだ時を思い出したか?」
「黙れ」

 マサキの声に、刃のような殺気がこもった。予想以上の殺気に、自分の怒りが決壊寸前だと気付いたマサキはほんの一瞬だけ目を瞑る。
 自分はいつだって、自分の利益だけを合理的に選択してきた。これまでも、これからも。橋本雅貴とはそういう人間だ。だから、他人のことで怒るなんて、有り得ない。馬鹿馬鹿しい。そう胸で念じると、熱暴走を
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