第十八話 陥穽
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。俺を更迭する事に誰も躊躇いを感じないはずだ。
今回の戦い、敵に打撃を与える事は出来ない。同盟全土で俺に対して非難が起きるだろう。だからこそ攻勢を執る必要が有る。こちらは敵との決戦を望んだ、だが敵がそれを望まず撤退した。損害を与えることは出来なかったが同盟軍は帝国軍を撤退に追い込みイゼルローン回廊まで追撃した……。そう言えるだけの実績が必要なのだ……。
それならば少なくとも無能だとは言われずに済むだろう。それなのに……、艦橋には白々とした雰囲気が流れている。グリーンヒルを始め参謀の殆どは俺と視線を合わせようとしない。そしてヤン・ウェンリーは居眠りをしている。そして誰もそれを注意しない。……味方の中にも敵がいるようなものだ。誰も信じられない。
「索敵部隊から報告です。帝国軍、イゼルローン回廊の入り口付近にて発見!」
オペレータが声を上げた。皆の視線がそちらに向く。ヤン・ウェンリーも目を覚ました、あるいは寝たふりをしていたのか……。グリーンヒルが緊張した面持ちでオペレータに問い掛けた。
「兵力はどの程度だ」
「約二万隻」
先行して撤退した部隊と最後尾を務めた部隊が合流したか。
「参謀長、あとどの程度でイゼルローン回廊に着く」
「約四時間といったところでしょうか」
四時間か……、グリーンヒルが俺を見ている。何処となく不安そうな表情をしている、失礼な奴だ。
「帝国軍の狙いは?」
少し間が開いたが俺の問いかけにフォーク中佐が自信に溢れた様子で答えた
「帝国軍が回廊の入り口付近にいる、考えられる事は二つあります。一つは駐留艦隊が援軍として来るのではないかという事です」
「しかし駐留艦隊が来援したとしても敵の総数は四万隻に満たない。我々が有利だ。そうではないか、フォーク中佐」
「その通りです、参謀長。となると駐留艦隊が増援として来る可能性は少ない。残る可能性は帝国軍が我々を回廊内に引き摺り込み、要塞攻略戦に持ち込もうとしているのではないかという事です。要塞攻略戦なら兵力の差をカバーできる、ブラウンシュバイク公がそう考えたとしてもおかしくは有りません」
なるほど、要塞攻略戦か……。中佐の言うとおり、要塞攻略戦なら多少の兵力差はカバーできる。ブラウンシュバイク公が勝とうと思えば確かにそれしかないだろう……。
「我が軍はどうすべきだと思うかね」
皆が顔を見合わせていたが、グリーンヒルが口を開いた。
「先ず早急に第二艦隊と合流する事を優先すべきと考えます。それとイゼルローン回廊内に入るのは得策とは言えません、現状では要塞攻略戦は避けるべきです。帝国軍は我々を挑発し回廊内へ後退するかもしれませんが我が軍は回廊の外で応戦すべきです」
やはりそうなるか……。要塞攻略戦は出来ない以上止むを得んが口惜しい事だ。ここ
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