第十八話 陥穽
[2/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
した。帝国軍が同盟軍本隊の移動速度に合わせて撤退するなら挟撃が可能、出来るものなら帝国軍を挟撃したいというドーソン司令長官の指示によるものだ。正直気が進まなかった。第二艦隊があまり先行し過ぎると帝国軍が各個撃破に出る危険性が生じる。
司令長官にはその事を改めて指摘したが第二艦隊には十分に注意するように指示してある。本隊も近づいているのだから救援は可能、心配はいらない。場合によっては第二艦隊を攻撃する帝国軍を挟撃できる可能性も発生するだろうと言って撥ね付けられた。
頬を震わせ甲高い声で自分の意見を押し通そうとする。正しさではなく権威で相手を押さえつけようとする。自由惑星同盟はとんでもない暴君を宇宙艦隊司令長官に持ってしまった。敵よりも厄介な相手だ。
ドーソン司令長官は戦果を欲しがっている。押し込むだけで良しとしながらもその本心は帝国軍の撃破に有る。嫌な感じがした、或いは第二艦隊を利用して帝国軍を誘引するつもりではないか、そんな疑いを持たざるを得なかった。
馬鹿げているとしか思えない、相手はそんな戦果欲しさに戦って良い様な生易しい相手ではないのだ。その事がまるで分かっていない。唯一の救いは帝国軍が後退を始めてくれた事だ。
同盟軍が前進を始めると帝国軍は後退を始めた。帝国軍のワルキューレが何度か索敵を目的としてこちらに接触している。その度にスパルタニアンに命じて追い払っているがそれでもワルキューレは接触してくる。
こちらも索敵を目的としてスパルタニアンを送り込んでいるが同じようにワルキューレに追い払われている。かなり妨害が激しい。兵力が劣る以上当然ではあるが帝国軍は神経質なほどにこちらを警戒している。ドーソン司令長官にもブラウンシュバイク公の用心深さを見習わせたいほどだ。
おかげで索敵部隊からは断片的にしか報告は入って来ない。それによれば帝国軍は五千隻ほどの艦隊に最後尾を任せ本隊は先行して撤退したようだ。帝国軍最後尾の部隊はこちらの索敵部隊を排除しつつ整然と撤退しているらしい、おそらくその五千隻は遠征軍の中でも精鋭中の精鋭のはずだ、油断はできない。或いはブラウンシュバイク公本人が率いている可能性もあるだろう。
先行する帝国軍本隊を巡ってまた議論が起きた。或いはヴァンフリート星系に潜み我々をやり過ごした後、後背から襲うのではないかと言うものだ。ヤン准将が指摘したのだが十分にあり得る事だった。ドーソン司令長官も渋々だがその危険性は認めざるを得なかった。
ヴァンフリート星系を通り過ぎる時は奇襲を恐れ艦隊はピリピリとした緊張感に包まれた。結果的に奇襲は無かったが念のためヴァンフリート星系には哨戒部隊を幾つか残している。敵を発見すれば直ぐに報せが届く。現時点で報せが無いという事は帝国軍本隊はイゼルローン回廊方面に急いでい
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ