第三十二話
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いや、かなり恐い。
「何だ、女」
「……勧誘に来て大丈夫なんですか? 確か、織田って今、大変なことになってるんじゃ……」
織田信長の配下であるはずの秀吉が、織田家が滅ぶかもという時にこんなところにいるのはどう考えてもおかしい。
今頃城の守備に奔走していることじゃないのだろうか。
「我は覇王になる者ぞ、魔王の配下などとうに辞めておるわ」
えっ、それって裏切ったってこと? だって、豊臣は織田と反目しないはずじゃあ……
あ、ちょっと待て、ここはBASARAの世界であって歴史上の世界じゃないんだから、こういう展開も当然アリだよねぇ……。
だって、真田幸村が武田信玄に仕えてる、って時点で有り得ない話なわけだし。
それを言ったら無双もそうだけどもさ。
「女、何故我が魔王の下にいたことを知っている」
私の問いかけに訝しがる秀吉が割と恐い。伊達に覇王になる者と言っているだけあって、そのオーラは絶大だ。
あ、墓穴掘ったかも……どうしよ、どう答えたらいいだろう。
「あ、明智の屋敷で随分と出世した人がいるという噂を聞いたもので……
風体が聞いたとおりだったから、もしかしたらそうかなーと……」
「明智の?」
「攫われて、無理矢理側室にされてしまったもので……」
何となく納得したんだかしてないんだか、秀吉はそれ以上問うことはなかった。
傍らで聞いていた竹中さんも何も言わずにただこの様子を見守っている。
怪しまれちゃったかなぁ……まぁ、そろそろここを離れるから別に良いんだけども、危険な目にだけ遭わなけりゃね。
「さて……僕は秀吉についていくけど、小夜君はどうする? 君がその気ならば一緒に来ても構わないけれどね」
着いて行っても構わないような気もしたけど……でも、これで竹中さんと敵対することは決まってしまった。
それならば、これ以上同じところにはいられない。
それにいずれは奥州に戻る身、迂闊に着いて行って伊達の不利になるようなことをやってしまったら洒落では済まされない。
私一人ならまだしも、小十郎にも責任を問われる事態になるかもしれない。それは困る。
「これで御暇させていただきます。二度も怪我の手当てをしていただき、ありがとうございました」
丁重に礼を述べてここは引き上げるに限る。これ以上関わり合いになるのは得策とは言えないもんね。
「いや、礼を言うのはこちらの方だよ。君は僕の命の恩人だ、それに稲葉山城攻略の手伝いもしてもらった。
この程度は礼にもならない……だからというわけではないが」
竹中さんが差し出したのは黒い着物と袴、そして蔵に押し込まれていたという黒塗りの刀だった。
「着ていた紺の着物は血で汚れてしま
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