暁 〜小説投稿サイト〜
戦国異伝
第二百二十八話 二つの策その十

[8]前話 [2]次話
「あの時もな」
「矛を収め逆に我等を攻めてきた」
「我等に気付いておるのか」
「まさか」
 こうした考えも出て来た。
「あの三人は我等と結託していると見てか」
「追い出したのか」
「妙に家臣達も動かしておるし」
「まさか我等を探っておるのか」
「その動きを」
「いかんな」
 老人の声がここで言った。
「この流れは」
「長老もそう思われますか」
「やはり」
「織田信長の近頃の動きは」
「その様に」
「あの者、若しやな」
 老人の声は闇の中で言った。
「我等に気付いてな」
「そして、ですか」
「そのうえで動いておる」
「左様ですか」
「近頃は」
「そうではないか、ではな」
 老人の声は焦っているものだった。
 そしてだ、こう周りに言った。
「急がねばならぬやも知れぬ」
「ではやはり」
「兵を起こしますか」
「既に用意は出来ていますが」
「それでは」
「いよいよ」
「ただ兵を起こすだけではない」
 老人の声は周りにさらに言った。
「あの者を消す」
「織田信長を」
「あの者自身を」
「そうされるのですか」
「ここは」
「うむ、これまではその周りを狙っていたが」
 これからはというのだ。
「あの者を直接じゃ」
「狙いそして」
「消す」
「そうされるのですな」
「では刺客を」
 一人がここで老人の声に問うた。
「使われますか」
「これまで多くしてきた様にか」
「源頼朝、足利義満にした様に」
「いや、あの二人には通じたが」 
 その刺客がというのだ。
「おそらく織田信長には通じぬ」
「あの者にはでか」
「守りが固い、だからな」
「刺客を送ろうともですか」
「防がれる、それは出来ぬ」
「しないのではなく」
「そうじゃ、出来ぬ」 
 こちらになるというのだ。
「残念じゃがな」
「ではどうされますか」
「兵で滅ぼす、しかし織田信長を討つのは我等の兵ではない」
 老人の声はこうも言った。
「別の兵を使う」
「と、いいますと」
「どの兵を使われるのでしょうか」
「ここは一体」
「どの家の兵を」
「それはその時に決める、しかし目星はつけておる」
 おおよそのところというのだ。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ