第二百二十八話 二つの策その九
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「宜しいですな」
「わかっておる、だから間違いがない様にな」
「手をですな」
「全て打った、それとじゃ」
「それと?」
「今のところ新五郎がおらぬ」
ここでまた林の名を出すのだった。
「朝廷との取次役じゃが」
「新五郎の弟の六郎が務めていますが」
「それとじゃ、吉兵衛と助直、友閑達に励んでもらうか」
「そうされますか」
「一層な、とりあえず新五郎の分までな」
「そしてそのうえで」
「朝廷とお話をしてな」
そしてとだ、さらに言う信長だった。
「その虎穴の後じゃ」
「では」
「帝からお話があったが」
先日帝から言われたことをだ、信長は話した。
「関白、太政大臣に幕府じゃ」
「将軍も」
「その三つをどうかと言われたのじゃが」
「帝から」
「まずは幕府をな」
「開かれますか」
「そしてじゃ」
「そのうえで、ですな」
平手も問うた。
「官位の方も」
「正一位にもなる」
「そうなられますか」
「まさに一の人となる」
武家としても公家としてもというのだ。
「わかったな」
「はい、それでは」
「それでよいな」
「やはり幕府を開かれるべきです」
平手もこのことは絶対と述べた。
「そして将軍となられるべきです」
「その通りじゃな」
「そしてじゃ」
「そして、ですか」
「関白にもです」
公家としての官位もというのだ。
「頂点になられるべきです」
「そう言ってくれるか」
「是非共」
「これを代々の織田家の地位としたい」
将軍、関白のだ。
「武家と公家の双方の頂点に立ちな」
「天下をお治め下さい」
「ではな」
信長も頷く、こうしてだった。
後のことも話してだった、信長は人を一通り動かした。そうして後は安土に控えていたが彼の読み通りにだった。
闇の中でだ、あの者達が話していた。
「織田信長め、どういうつもりじゃ」
「重臣を三人も追放だと」
「一体何を考えておる」
「わからぬ」
信長のその意図がというのだ。
「この度のことは」
「どういう考えか」
「しかもその者達が比叡山や都におる」
「これもじゃ」
「わからぬのう」
「そうじゃな」
こうしたことを話していた。
「どうもな」
「あの者の考えは読みにくいが」
「近頃特にな」
「何を考えておる」
「何故股肱の臣を三人も追い出した」
「どういうつもりじゃ」
「先の戦といい」
荒木の時のことも話される。
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