第二百二十八話 二つの策その八
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「やはり」
「そうじゃな、ではな」
「あの者を向かわせましょう」
「ではな」
「これでよいかと」
「さて、入れる者に連絡役、固める者達も全て決めた」
これで、というのだ。
「確かな話が入ってからな」
「あえて、ですな」
「わしは虎の穴に入ろう」
そうしようというのだ。
「まあ五郎左や忠三郎は適当に理由をつけるか」
「その者達について何か知られていることがあるなら」
「そうした古いそれも力のある場所じゃ」
「神仏の力の」
「そうじゃ、だからじゃな」
こう言う信長だった。
「調べるべきじゃな」
「ああした場所は記録が残っていますので」
「何かとな。奈良にもあるか」
「奈良でしたら」
「順慶じゃな」
筒井だった。
「あ奴は興福寺の者じゃしな」
「都合がいいですな」
「あそこにも人をやるか、そうじゃな」
その者はというのだ。
「七兵衛がよいか」
「あの方ですか」
「まだ若いが」
しかし、というのだ。信行の息子の織田信澄は。
「出来る、だからな」
「大和の寺社をですか」
「調べてもらうか、ではな」
「あらゆる手を打たれ」
「そのうえで勝負に出ようぞ」
「上様、それで都から」
「うむ、危機を脱したらな」
「安土には猿夜叉様に来て頂きますので」
「それと共にじゃな」
「お待ちしております」
これが平手の言葉だった。
「それがしも」
「ではな」
「はい、しかし上様の無鉄砲さは変わりませぬな」
「常に前に傷を負わぬ様にことは進めておるがな」
「ですが肝心な時に思い切ったことをされます」
そうした無鉄砲さだというのだ、信長は。平手は彼のそうした特質を彼が幼い頃から仕えているからこそよく知っているのだ。
「そこまで、ということを」
「常にか」
「そうです、桶狭間の時といい」
「そういえなあの時もじゃったな」
「一万五千の兵で戦われるかと思えば」
そこで、だったのだ。信長は。
「そのうち一万三千をあえて斎藤に向かわせ」
「後の二千で奇襲を仕掛けたな」
「それがです」
まさにそのことがというのだ。
「思い切りがよ過ぎて」
「心配じゃったか」
「全く、無茶を為されます」
「あの時もああなると読んでおった」
丸根と鷲津で敵を止められること、そして雨が降ることもというのだ。
「わかっておったがな」
「それでも二万五千の大軍にです」
「二千で急襲したことはか」
「この度のことと同じく」
「無鉄砲か」
「お気をつけを」
是非にというのだ。
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