第二百二十八話 二つの策その七
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「まだな、しかし」
「しかしですか」
「今新五郎には都を探らせておりじゃ」
「そして牛助にはですな」
「高野山を探らせておるが」
「殿、あと二ついえ三つありますかと」
平手は都、高野山と聞いてさらに述べた。
「比叡山、伊勢、そして本願寺自体です」
「本願寺、一向宗じゃな」
「顕如殿もあの闇の服の者達は一切知らぬと言っておられますな」
「どうもな」
「既に本願寺の本堂は都と大坂、東西に分けていますが」
石山御坊を一旦解体してその材木をそれぞれ移して今度は東西にそれぞれ本願寺を築かせたのだ、顕如の二人の息子達にそれぞれ跡を継がせ本願寺のあまりにも強かった力も分けて弱めたのである。
「その東西にある書物を探ってもらいますか」
「ふむ、では顕如殿に言うか」
「寺社奉行の与右衛門に命じますか」
藤堂高虎、彼にというのだ。
「そうされますか」
「いや、ことが大きい。与右衛門を置いてわしが直接な」
「顕如殿にですな」
「言おう、そして伊勢は」
「はい、朝廷にお願いして」
「あそこには五郎左を行かせるか」
織田家の宿老の一人にもなっている彼にというのだ。
「そうするか」
「ですか」
「うむ、そうしようぞ」
「そして比叡山は」
「そうじゃな、あそこはな」
誰かというと。
「猿にするか」
「猿ですか」
「あの者がよいか」
「猿ですか」
「そうじゃ、どうじゃ」
「猿は少し」
平手は首を傾げさせて信長に答えた。
「寺には詳しくありませぬ故」
「置いておくか」
「ここは姫路を固めさせておきましょう」
「それがよいか」
「はい、権六は北ノ庄に置いていますな」
「それと同じか」
「そうしましょう、あと丹波にはこのまま十兵衛を置き」
明智、彼をというのだ。
「都を固め、岐阜は九郎か菊千代に」
原田か堀だというのだ。
「東国は江戸に鎮吉を置きましょう、このまま」
「守りも必要じゃしな」
「四国は鬼若子殿がおられます」
元親に任せるというにだ。
「相手が動けばすぐに動いてもらうので」
「では比叡山には誰を置くか」
「他にも又左や五郎八、般若、内蔵助や勝三にも要所を固めさせねばなりませぬが」
「相手に気付かれぬ様にな」
「はい、まあさしあたっては織田家譜代で要所を固めると思わせましょう」
その相手にというのだ。
「そうしましょう、して」
「最後の比叡山じゃな」
「あの寺に入れるとなれば」
「一人しかおらぬな」
ここで信長が言う者はというと。
「忠三郎じゃな」
「あの者しかおりませぬ」
蒲生氏郷、彼だというのだ。
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