第三十一話
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かって一発蹴りを食らわせてやれば、飛弾守は顎を押さえて再び転がっていた。
「こ、このアマ……!」
強くないって言ったけど雑魚もいいところじゃないの、こんな奴。
何でこんなのに竹中さんはいい様にやられてたってのよ……あ、そこが仕える身の苦しさってところか。
主のお気に入りだから下手に手を出せば、全面的に自分が悪くなっちゃうもんねぇ。
その理屈で私や小十郎には他の家臣達も手出ししないし。
だったら尚更私が殺しちゃうのは無しだわね。恨みがある分きっちり討たせてあげないと。
思いきり刃を返してぶん殴ってやれば、特に抵抗らしい抵抗も出来ず飛弾守は伸びてその場に倒れてしまった。
とりあえずはコレでここは由、と……。
あとは龍興を倒せたのかどうかだけど……。
「城内にいる斎藤家家臣に告ぐ! 君達の主である斎藤龍興は降伏した! 抵抗を止めて降伏せよ!」
響き渡る竹中さんの声に振り返れば、そこには竹中さんと竹中さんの家来に捕縛された幼い子供の姿があった。
……一体どんな奴かと思えば、まだ子供じゃないの。そりゃ、えり好みして側に置くのも無理はないかぁ。
小さい子なら優しくしてくれる人を側に置きたいもんだもんね。寧ろ悪いのは龍興というよりも周りの家臣達の方か。
龍興が捕縛されたことで城内の混乱は次第に納まり、全員が呆気なく投降した。
拍子抜けって感じはあるけども、出番の無かった二千人の兵達が手際よく処理をしてくれてるお陰でもう私のすることは無くなりました。
「意外と呆気なく終わりましたね」
「皆がよく動いてくれたお陰さ。小夜君にも礼を言わなければならない」
「助けてもらったお礼ですよ。これくらいなら朝飯前です」
敵になる以上、あんまり貸し借りは作っておけないしねー……。まぁ、借りは返せたって考えてもいいかな。
疲れたとばかりに軽く伸びをする。とりあえず片付いたことだし、そろそろ奥州に戻るようにしようかなぁ。
なんて、集中力を解いたのがいけなかった。
それまで死んだように伸びていたはずの飛弾守が突然起き上がって、竹中さんに向かって思いきり踏み込んできた。
すっかり油断していた私達はあんな雑魚が簡単に間合いに入ることを許してしまう。
この状況、詰めが甘いと言われても反論の余地が無い。
「危ない!」
咄嗟に私は竹中さんを突き飛ばしていた。突き飛ばして数瞬、私の背に覚えのある熱さと鋭い痛みが走る。
「小夜君!」
くそ、やられた。しかもこの感じからすると、結構な深手っぽい。
竹中さんに身体を支えられた直後、例の鞭みたいな剣が蛇みたいに動いて飛弾守の首を刎ねていた。
二撃目を繰り出そうとする構えのまま、飛弾守
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