八話:雌伏の時
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に惑わされることなく歩めるかは彼女達の選択次第だが。
一人部屋で味気の無い機械質な風景を眺める。
時空管理局顧問官。それがグレアムの現在の立場だ。
昔はもっと上の地位に居たが今の年でそれをこなすだけの体力はない。
本来であれば引退して余生を故郷でのんびりと過ごしたいのだが生憎そうはいかないのが現状だ。
「失礼します」
「クロノ、久しぶりだな」
「ご無沙汰しています」
何はともあれ今は自分の職務を全うするべくクロノ、フェイトそしてなのはを迎え入れる。
フェイトの保護観察官として面接をしなければならないのだ。
給仕の者に紅茶を入れさせフェイトとなのはをねぎらう。
特になのはに関しては既にリンカーコアを奪われた後だというので罪悪感から丁寧に対応しようと決める。
「さて、私が君の保護観察官を務める、ギル・グレアムだ」
「よろしくお願いします」
「まあ、保護観察官と言っても形だけだよ。君の人柄はリンディ提督からもよく聞いている。とても優しい子だと」
「ありがとうございます」
褒めると顔を赤らめて礼を言うフェイト。
確かにリンディの言う通りにいい子なのだろうと確信し同時に罪悪感も出てくる。
いざとなれば蒐集の餌にする可能性が高いからだ。
「ん? なのは君は日本人なんだな。日本、あそこは良い国だ」
「え? 来たことがあるんですか」
「実はね。私もなのは君と同じ世界出身なんだ。イギリス人だ」
「そうなんですか!?」
まさか、時空管理局の重鎮に自分と同郷がいるとは思わなかったのか声を上げるなのは。
地球は数こそ少ないがまれに高い魔力資質を持った人間が生まれる。
例としてはなのはにグレアム、そして切嗣などだろう。
「管理局の局員を地球で助けたのが魔法との出会いでね。……もう、五十年以上前の話だよ」
遠い日の風景を思い出しながらグレアムは語る。
思えば管理局員を助けたことから始まり、管理局員として切嗣を助けた。
因果というものはどうなるか分からないものだ。
「五十年以上前……」
「第二次世界大戦が終わってすぐのことだ。あの時私は世界を平和にしようとする管理局の理念に憧れてね。……思えば随分と遠い所まで来たものだ」
戦争を知っていることが彼にこの道を歩ませるにあたった。
あの日胸に宿った平和な世界が欲しいという正義の心は未だに心に残っている。
だが、あのころと比べれば随分と薄汚れてしまっているだろう。
それでも、自分は立ち止まるわけにはいかない。
改めて覚悟を決め本題に入る。
「フェイト君、君はなのは君の友達なんだね?」
「はい」
小さくも力強い返事が返って来る。
これ以上聞くまでもない
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