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竜のもうひとつの瞳
第三十話
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りゃ素直に凄い。感服しました。

 「小夜殿」

 家臣の一人が私の肩を叩く。全員が揃ったら私の肩を叩くのが合図。そして、私は竹中さんにそれを伝えるのが役目。

 前方からこの大行列を見て驚いている斎藤家の家臣達を見て、私は薄く笑った。

 「半兵衛様、金華山には竜がいるとか。是非見てみたいものですわ」

 その言葉に竹中さんも薄く笑う。

 「ならば金華山の竜をこの手で捕まえてみせよう。……皆、行くぞ!!」

 「応!!」

 一斉に刀を抜いて、竹中さんが予め決めておいた持ち場へと向かう。
ちなみに私は竹中さんに同行して戦う役目を帯びている。
護衛みたいなもんだけど、どうも私以上に強い人が見つからなかったみたいで、割と大役を任されてしまったわけだ。
ま、それも本当かどうか分からないけど。

 「なっ……竹中殿!? これはどういうことですか、なっ……」

 割合年老いた家臣の一人を叩き切り、城の中にいる兵や家臣達を無差別に切っていく。
仮病で寝込んでいた弟さんも私達に加わっての大乱闘、しばらくこれを謀反とも奇襲とも捉えられず、
ただ家臣同士の喧嘩と捕らえたのが斎藤側の運の尽きだった。
すぐに謀反と分からなかったこともあって、対応がとんでもなく遅くなってしまったからだ。

 後で聞いた話なんだけど、竹中さんが集めたのは日頃鬱憤が溜まっているような人ばかりで、しょっちゅう喧嘩している人を中心に集めたのだとか。
そんな人間が暴れれば謀反だと思いそうなものだけど、日頃見慣れている光景というのは
些細な違和感をそこに投じても気付かれないものだと言われて、何だか感心してしまったもんだよ。

 「謀反だー!! 出会え出会えー!!」

 事実そんな声が上がったのは、城の守りに就いていた兵達を悉く切り捨てた後だったのだから。

 本当に勉強になります。奥州に戻ったら、このやり方を倣ってみようかしら。
伊達に謀反を起こしたくなった時にでも。
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