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竜のもうひとつの瞳
第三十話
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ってか、あの美しい顔にそんなことするだなんて、まず奴の汚ぇモノをぶった切って口に詰め込んで、
泣き喚いて許しを請うまで甚振ってやらなきゃ気が済まないわ。

 「お? 色子が珍しいじゃねぇか。しかも竹中の家臣様を連れてよぉ……しかも何だ? 女連れかぁ?」

 嘗め回すように私達を見て、馬鹿にしたように笑った。下品な笑い方がいちいち癪に障る。
やっぱコイツはそれなりの仕置きをしてやらないと。簡単に首切って終わりだなんて許せないわ。

 「彼女は弟の側室です。病に掛かったと聞いていても経ってもいられないと」

 「はん、随分と熱烈じゃねぇか。あのもやしっ子にゃ勿体ねぇくらいの」

 とっとと入れと追い立てる飛弾守は、私が門を入ろうとしたところでしっかりとお尻を撫で回してきやがりました。
その場で叩き切ってやろうかとも思ったけど、ここで事を起こしては全てが水の泡、耐えましたよ。そりゃもう。

 絶対コイツだけは生かしておかねぇ。

 心の中で私はそう唱えながら、これでもかっていうくらいに殺気を迸らせて城への侵入を成功させました。

 この稲葉山城、金華山にある山城で一応“城”という名称がついているんだけど、どちらかと言うと造りは砦に近い。
戦を仕掛けられればここを拠点に動くには良いかもしれないけれども内部から切り崩されると脆そうなのは分かる。
こういう砦なら隠し通路の一つや二つもあって、何かあったらすぐに逃げられるようになってるってのも予測はつく。
多分それは竹中さんも承知の上で、でも逃げたきゃ逃げればいいってスタンスだから特に気に掛けてないんだろうけどもさ。

 この城は織田信長が何年掛かっても落とせずにいる難攻不落の城ということもあって、
それが自信に繋がって斎藤家でもここが要となっている節がある。
他の城を攻めても痛手には繋がらないが、この難攻不落の城を落としてこそ意味があると竹中さんは出発前に力説してくれた。
つまりは士気を挫くことで斎藤家からの増援をなるべく遅らせようという策なのかもしれない。

 「小夜殿、見て御覧。秋口になればここから金華山の紅葉が一望出来て、それはそれは美しいのだよ」

 「まぁ、心惹かれますわね。半兵衛様」

 そんな白々しい会話を繰り広げながらもゆっくりと集合場所へと足を運ぶ。
後から入ってきたらしき家来達も徐々に合流し、あともう一組が集合すれば作戦開始になる。

 竹中さんを含めれば十七人、うち十四人がずらずらと廊下を歩いている。
この光景は異様なものだが、どういうわけか幸い集まってから一度も誰とも顔を合わせていない。

 ……もしかして、何処を通れば人と会わなくて済むのか、これも織り込み済みで行動してたってこと?

 素知らぬ顔してよくやるわ。こ
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