第二十九話
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「戦を仕掛けるにしては人数が少なすぎますし、龍興さんを暗殺しようってわけでもなさそうだし……」
「まぁ、君の疑問は最もだ。たかが十六人で城攻めなどと、狂言も良いところと思われても仕方が無いだろうねぇ。
刀を構えて武装して、城に押し入ったらたちまち僕らは討たれて終わりだろうよ」
そんなことを言う竹中さんは何処までも穏やかだ。
確かにそんなことをすれば一巻の終わり、自殺志願者と言われても反論の余地は無い。
「だけど、城に入ることは存外容易いことなんだよ」
竹中さんはにやりと笑う。
竹中さんの企てはこうだ。斎藤家に頑張って仕えている竹中さんの弟さんに病気になってもらい、その見舞いと称して城に入る。
いくら隠居した身とはいえ、病気の弟の見舞いに来たと言えば怪しむ者はいない。
そして同様に見舞いと称して何グループかに分けて城の中に入るようにすると、侵入するのは難しくないという。
確かにお見舞いって名目だから、まさか内部に侵入されたとは誰も思わないだろうしねぇ。
揃ったところで内部から切り崩していけば、戦の準備をしていない城の中は大混乱になる。
その混乱に乗じて龍興を捕らえればいい、そういう作戦だった。
そもそもこの城攻め、大将の生死は然程重要ではなく、城を一時的に奪えればそれでいいのだから条件としては楽なものだ。
例えば原っぱなんかで戦やってると、敵味方入り乱れる中で大将を見つけるのって結構大変なんだよねぇ。
で、それを殺すのもまた一苦労なわけなのよ。降参させるのも重労働だけど。
それを殺さずにただ捕まえておけばいいって言うんだから、気は楽だよ。だって重力の力で軽く抑えておけばいいんだもん。
とはいえ、その作戦で行くのならば重装備は出来ない。
これから戦をしますって格好で見舞いに来る馬鹿はそうそういるもんじゃないし、普通は門前払いを食らうのがオチだろう。
まぁ、政宗様なら甲冑着込んで見舞いに来そうな気はするけど、あの人の場合は特殊だしそういう人間だと思われてるからまだいい。
けど、普通はそういうもんじゃない。だから極力軽装で立ち向かうしかないということになる。
鎧があれば軽症で済むような怪我も、この条件だと下手に切られれば致命傷になりかねない。
「それなりに強い駒を揃えないと、折角敵の虚を突いても簡単に殺されて終わりますね」
「そういうことだ。しかもこの“駒”は冷遇されている人間でないと意味が無い。
僕の個人的な感情も城攻めの理由だけど、家臣を侮るとこうなるという見せしめのためという意味もある。
傭兵や足軽達で揃えてしまっては意味を成さないんだ」
なるほどね、確かに大人数で攻め込んで普通の戦に持ち込むよりも、
少人数で呆気なく攻め落とされたともなればそち
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