Fate/stay night
1133話
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『おのれ……何を、何をするつもりじゃ!?』
そして蟲の存在が次々にスライムに飲み込まれて消滅しているのに気が付いたのだろう。先程も聞こえてきた声が焦りの色を滲ませて告げる。
「何をするかって? 決まってるだろう? このブンブンとうるさく飛び回っている蟲を纏めて片付けるんだよ」
このスライム、吸収した相手の質量によって自分の質量をも増やす事が出来るという特色を持っている。
つまり、相手を吸収すればする程にその質量を増やしていき、結果的により強力な宝具となる。……言わば、成長する宝具とでも呼ぶべき存在。
今ですら、このスライムがどれだけの質量を持っているのかは俺にも分からない。
スライムが姿を現している空間の穴の向こう側でも見る事が出来れば、話は別なんだろうが……
ともあれ、こんなスライムだ。折角ならこの蟲倉とでも呼ぶべき部屋を……いや、この家そのものを吸収させて貰おう。
あの声の主がどこに隠れているのかは、俺の念動力でも判別出来ない。
だが、使い魔の類を使っている訳ではない限り、この屋敷の……工房ともいえる中にいるのは間違いないだろう。
それに、もしここにこの声の主がいないとしても、ライダーがここを本拠地にしている可能性は否定出来ないしな。
故に……
「スライムッ!」
その言葉と共に、俺の中から大量に魔力が消費されていく感触が分かる。
なる程、俺の魔力EXや魔力生成EXが何の為にあるのかというのが今まで全く謎だったけど、もしかしたらこのスライムを使う為だったのかもしれないな。
そう思ってしまう程に、俺の中で消費されている魔力の消耗は激しい。
だが、それだけの魔力を送られたスライムは、一気にその容量を増していく。
まるで水風船の中に水を入れすぎて破裂したかのように、この蟲倉からスライムが溢れ出していく。
その容量は、それこそ無限なのではと思うくらいに大きく、尽きる事がないように思えた。
『何を、何をするつも……』
どこからともなく聞こえてくる声の主にしても、スライムに飲み込まれたのだろう。すぐにその声が聞こえなくなる。
この蟲倉に存在していた無数の蟲にしても、まるで果てがないかのように降り注ぐスライムから逃げられる筈もなく、全てがスライムの身体に包み込まれ、次の瞬間には吸収されていく。
幾ら無数に存在する蟲であったとしても、所詮は固体。蟲倉全てを覆い尽くすスライムから逃げられる筈もない。
この蟲倉で唯一無事な場所は、俺と凛のいる空間のみ。
それ以外は完全にスライムの身体に詰まっていた。
また、蟲倉からニュルンッとばかりにはみ出たスライムにしても、この家の中へと向かって進んでいく。
それこそ隙間という隙間にはスライムが入り込むように。
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