第六章〜知らぬ顔の〜
第二十八話
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ってるからしつこく誘いに来るわけで。
でも、竹中さんの回答はいつも同じで乗り気じゃないと言う。
「稲葉山城攻め、加わらないんですか?」
安藤さんが引き上げた後、私は竹中さんにそんな話を振ってみる。
私の問いに苦笑する竹中さんに見惚れたのはさておいて。
「盗み聞きかい?」
「……毎日同じ話ばかり聞いていれば、嫌でも覚えますよ。第一、聞かれたくなければ外でやるべきでしょうに」
「確かにそうだ」
そんなことを言って笑う竹中さんが半端じゃなく美人でドキドキします。あ、いや、そうじゃなくて……。
「攻めちゃえば良いんじゃないですか?」
「随分と簡単に言ってくれるじゃないか」
「だって、本当は攻めたいんでしょう?」
にやりと笑ってそう言えば、少し竹中さんは驚いた顔をしていた。しかしすぐに苦笑して、
「……君は人の心を見抜くのが上手いね」
と観念したように言った。
そりゃ、奥州じゃ中間管理職だったから御手のものっすよ。
人心掌握くらい出来なきゃ、あの政宗様の部下なんてやってられませんもん。
でもまぁ、私も小十郎と多分一緒で色恋沙汰には鈍いけど……。
「義父上は大軍を率いて倒すつもりでいるようだけど、
あの程度の城ならば二十人……いや、十六人ほどいれば容易く落とすことは出来る。
ただ、それには僕の指示に従って動けるだけの駒が必要だ。それこそ、その場で命を落としても構わないと思うほどのね」
やっぱり策の一つも練っていたってわけか。流石は未来の豊臣の軍師様、この人は敵に回すと厄介そうだ。
いや、策なんてチャチなもんじゃない、きっと戦の構想が出来上がってる……そんな気がする。
自国以外の軍師とこうやって話をすることはまずないけど、
軍師っていうのは戦の構想が出来上がった状態で話をすると、本当に生き生きとして話してくれるんだ。
うちの小十郎もそうだし、誤解されがちだけど何も小十郎一人が伊達の軍師ってわけじゃない。
勿論他にも小十郎に変わって指揮を取れる人間はいる。
ただ、小十郎がずば抜けて優秀だった、ってだけの話で目立っちゃってるのよね。竜の右目なんて肩書きもあるし。
竹中さんも同じなんだよねぇ〜、そういう匂いがするっていうかさ。
「今は時ではない、だから断り続けてきたのさ。
どうにか十人ほどは掻き集めたけれど、それ以上はどうにもなりそうにもなくてね」
なんて言っても諦める気は無さそうだけどねぇ。目がそう物語ってるもん。
何が何でも叩き潰すって考えてるのは丸分かり。
「城攻めをしたら竹中さんはどうするつもりですか? 斎藤家に代わってこの辺りを治めるとか」
「それこそ興味が無いね。僕は単純に城攻めが出来れ
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