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黒の剣士は入るゲームを間違えた
第一話 まさかの入り
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いのかもしれない。
それを付けたまま病院的なベッドに座る。すると安岐さんがゆっくりと頭を包む機械に繋がるバイタルを操作する。

「じゃあ四、五時間くらい起きないと思うのでよろしくお願いします」

「身体はバッチリ私が見ておくから安心してねー」

「よ、よろしくお願いします・・・」

電極を張り付けた身体をそっと寝かす。段々視界が暗くなっていく。そしていつもの世界に旅立つキーワードを口にする。

「リンクスタート!!」


そういい放つとあの白い場所に何本ものカラフルな線が・・・・こない。それどころか、視界が別の物に切り替わっていく。頭も痛くなってきてまともな状態を保っていられない。ジョークも考えられないくらいだ。
何なんだ!あのお決まりの始まり方をすると思っていたのに、あの白いログイン画面は映されず、何故か赤の"ERROR!"という文字が視界を埋め尽くしている。全てを取り囲み、白を落ち着きのない赤に変えるひどい背景。

ーーーこれではまるでSAOみたいじゃないか。

視界を埋め尽くされ神経の接続がブツッっと嫌な音をたてて切れる。それは外部と繋がっている唯一の線。普通ならここで現実世界に意識が戻る。そして何故かダメでしたー、何て安岐さんに冗談混じりの会話何かも出来るだろう。だが、ゲームはそれを許そうしない。だが勿論接続は絶たれているのでもがこうとしても、足掻こうとしても手はピクリとも動いてくれない。俺はここで死ぬのだろうか?こんな仮想の空間に永遠に閉じ込められ、最後の時を迎えるのだろうか。何て格好が悪い。

クライン、エギル、シリカ、サチ、リズ、ユイそしてアスナ。それぞれの顔が頭に浮かぶ。楽しかった記憶、面白かった記憶、悲しかった記憶。色々な仲間と経験した記憶がその時と同じように感じることができる。流れるように早く、同時にとても長い記憶。それは何秒間見せられたのかは知らないが、とてつもなく圧縮されていたように思える。これが俗に言う走馬灯ってやつか?冗談じゃない。

「ふざけるなぁぁあ!!!」

俺は無理矢理神経との接続を回復させる。ブチィピキィと嫌な感じが身体中を這いずり回る。そして動き出したその足で走り出す。・・・まだ俺には戻るべき場所と帰るべき相手がいるんだ!
頭の中に強い・・・だが弱くもある細身の彼女を思い浮かべる。薄紅色の頬と同時に見せる笑顔、いつも俺の名前を呼んでくれるだけで幸せになれるあの狂おしいほど、愛らしいほどの声。それをもう一度ーーー。いや、失わないために彼は"ERROR!!"の向こうへと身を投じた。
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