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黒の剣士は入るゲームを間違えた
第一話 まさかの入り
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かせなまじトラウマ物の記憶をかき消す。いつまでも忘れない、・・・いや忘れてはいけない記憶が確かにまだ頭のうちにあることを確認する。この記憶では恐怖の証であるとともに背負う罪でもあるのだ。それを忘れるなんてできるはずもない。
それにしても"黒の剣士"か・・・。全身黒での剣士なぞ彼くらいの物好きしかしないだろうけど、一応他の可能性もあるわけで・・・。正直言うとかなり恥ずかしい。

「・・・うん、まぁ」

彼は注文取りの彼女に向き直り口ごもりながら答える。その言葉は酒場中の視線が彼に集まる結果を引き起こした。様々な感情や方向、人種をもって彼は一人見つめられる。このような強い圧力が一心にかかり彼は心なしか、顔が少し青ざめひきつる。その端整な顔に映るのは驚愕と後悔。あからさまに、こんなつもりじゃ無かったと顔に書かれているようだ。

少し経つと酒場の喧騒は全て"黒の剣士"への質問へすげ変わっており。青年はその丹精な顔を少し歪ませつつもなんとか笑顔でいた。彼は笑顔のまま周りのを見渡すが、何処にも助けてくれる味方がいないことに気づき諦めの表情を見せる。だが心の中では大音量で叫んでいるのだろう。

―――どうしてこうなった!?と











「で?単刀直入にいってくれ。そっちの方が簡単で助かる」

「・・・君には『死銃』についての調査を依頼したい」

俺には余り縁の無いようなレストランで話されたのは、いつもの厄介事だった。相手である菊岡は素性不明の怪しい人ではあるのだが、性格や関係からして結構に信用できる相手だとは思っているのだが今回は事情が事情だ。人の命が関わっているものにおいそれと邪魔な手を出してはいけないだろう。大事な案件というのはそれだけの責任がついてくるのだ。

「だけど菊岡さん。その『死銃』って言う奴は素性もわからないんだろ?そんなのを有象無象にいるプレイヤーの中から見つけ出せるもんかね?」

「それだから君に頼んだんだ。『死銃』は強いプレイヤーしか狙わないらしい。つまり君にはGGOのなかで一暴れして欲しいんだ」

「強く・・・?それなら現役のGGOプロに頼めばいいだろ。俺に頼む必要は・・・」

俺はあからさまに席を立ちレジへ向かおうとするが、菊岡は俺のライダージャケットを掴んで引き戻そうとする。流石に相手は大人だ、力比べでは部が悪い。
彼は俺のジャケットを引っ張りながらのひきつった声で続ける。

「桐ヶ谷君。僕は君を信頼しているんだよ」

仕事というのは能力だけで任せる相手を決めるものではない。判断力、実績、そして信頼を持って選ばれているのだ。その菊岡はこちらに信用を向け、SAOとALOの事件解決の事を高く買っているのだ。いつもからは感じられないその真摯な眼は俺を射抜き、次に俺
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