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真・恋姫†無双 劉ヨウ伝
第164話 復讐の顛末 後編1
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「断る!」

 魏延の言葉に兵士達が表情を変えた。兵士達は魏延に怒りを覚えている様子だった。

「何故だ?」

 正宗は真剣な表情で魏延を見た。

「お前に話す理由などない!」

 魏延は鈍器を正宗に向け怒鳴った。彼女は正宗に仕える気持ちがないことが理解できた。

「では殺すしかないな」
「私は死ねない! お前を必ず殺す!」

 魏延は言った。その表情は何か思い詰めたようにも見えた。正宗も何かを感じ取ったのか沈黙した。

「いいだろう。相手をしてやる」

 正宗は魏延に言うと馬を颯爽と降り、双天戟を持って構える魏延に歩み寄ると構えた。

「余はお前を殺したくないのだがな」
「黙れ――!」

 魏延は正宗に斬りかかった。しかし、正宗は難なく魏延の攻撃を受け流すと石突きで魏延の腹を突いた。魏延は鈍器を落とし後ずさると膝を突き正宗を睨んだ。

「もう良いだろう。私に投降しろ。悪いようにしない」

 正宗はそう言った。魏延は正宗の言葉を無視して、鈍器を握り直すと正宗に襲いかかった。しかし、正宗との力量差があるためか彼に一撃すら入れることができず、地面を転げ泥だらけになった。

「もういい加減にしろ」

 正宗は魏延を睨んだ。しかし、魏延は正宗に向ける殺意を抑えることはなかった。

「私はお前に従わない!」

 魏延は正宗に怒鳴った。その言葉を聞いた正宗は表情を変えた。猛禽を彷彿する両目で魏延を凝視した。

「魏文長、余は味方と合流しなければならない。だがお前をここで放置することもできない。望み通り終わりにしてやる」
「私はお前に負けない! 絶対に負けない!」

 魏延は正宗との実力差を理解している様子だったが諦めた様子はなかった。

「その意気やよし。惜しいが仕方ない」

 正宗は双天戟を深く構え必殺の一撃を魏延に放った。

「振雷!」

 正宗は魏延との間を一気に詰めて双天戟を突いた。魏延は突きを避けようとしたが、不規則な双天戟の動きに付いていけず左横腹を抉られた。魏延は抉られた横腹に目を向けると脱力したように膝を着き後ろに倒れた。
 正宗は倒れた魏延に近づいた。魏延は血を吐き乱れた息づかいをしていた。彼女は視点の焦点が合わない目を動かしていたが正宗を見つけると視線を止めた。

「あんた強いな」

 魏延は弱々しい擦れた声で正宗に声をかけた。

「何故に強情を張る?」

 正宗は魏延に質問した。

「あんたに頼みがある」

 魏延は震える声で正宗に言った。その声音から彼女の命が長く無いことが分かった。

「頼みだと?」
「私の子分を助けて貰えないか? 蔡徳珪に私の子分が捕まっているんだ。身勝手な頼みなのは分かってる」

 魏延
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