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竜のもうひとつの瞳
第二十七話
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なかなかお目が高いじゃねぇか。
だが、コイツらをくれてやるわけにはいかねぇ」

 「私の可愛い側室達の所有者は貴方でしたか……ならば、貴方を殺して二人を手に入れましょう」

 「……私の、可愛い……?」

 お前は正気なのか? 政宗様がそんな顔をしていることは容易に想像がつく。
俺の身体を支えている二人でさえ、そんな表情をしているのだから。

 「……心の底から気持ち悪ぃ」

 ぽつりと呟いた俺に、明智が途端に嬉しそうな顔をする。

 「ああっ、いい……いいですよ! もっと罵って下さい! この私を、もっと!」

 止めろ! 恍惚の表情浮かべて妙なこと言うんじゃねぇ!

 おぞましくて身を震わせる俺をちらりと見た政宗様が、今度は睨みつけるようにして明智を見たのを俺は見逃さなかった。

 「……おい、テメェら。何が何でも小十郎を守れ。俺はあの野郎を潰す。アレは生かしておいちゃならねぇ人間だ」

 完全に引いている兵達にそう言った後、政宗様は六爪を抜き放ってあの変態に突っ込んでいく。
変態も奇声を上げながら政宗様に二振りの鎌を持って突っ込んでいく。
二人の激しい戦いが始まったところで、俺の身体が限界だとばかりに眠りへと落ちようとしていた。
政宗様の背を守らなければ、そう思うのだが如何せん身体が動かない上に
政宗様がいらっしゃることに酷く安堵してしまって、これ以上はどうにもならなさそうだ。

 「小十郎様?」

 「……悪い、しばらく休む。何かあったら、起こ……せ……」

 連中が慌てたように俺の身体を揺すっていたが、襲う眠気に抗うことが出来ず俺はそのまま意識を失っていた。



 しばらくして目を覚ますと、俺は一人見覚えのある一室で寝かされていた。
何となくこの状況に覚えがあるもので、勢いよく身体を起こし布団を剥いで足を見る。
しかし枷などはついておらず、逃げ出そうと思えば逃げられる状態だった。
明智の野郎にとっ捕まったのかと一瞬思ったが、どうもこの様子を見る限りではそういうわけではなさそうだが。

 どうして俺はここで寝かされている。まさか、政宗様が負けたなどということは……。

 あんな変態に後れを取るとは思えねぇが、卑怯な手を使われたということはあるだろう。
……あんな野郎にとっ捕まったら一体何をされることか。
政宗様は俺とは違って顔立ちも良いし、品もある。あんな野郎に汚されでもしたら……腹を切って詫びる程度じゃ済まされねぇ……。

 「小十郎、目が覚めたようだな」

 部屋の戸が開かれて入って来たのは政宗様だった。

 「ま、政宗様、どうしてここに」

 明智の野郎にとっ捕まったわけではないことに安堵しながらも、それでも政宗様がこちらにいることに驚きを
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