暁 〜小説投稿サイト〜
遊戯王GX−音速の機械戦士−
―『帰る』べき場所―
[1/15]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「遊矢くん。ひとまず……無事で何よりです」

 俺の意識が保健室で回復してから――十代とミスターTという謎の男とのデュエルから一晩経ち、俺は精密検査の後に校長室を訪れていた。異世界での出来事は聞いていたのだろう、沈痛な面もちで鮫島校長は頷いた。

「それより、他のみんなは」

「異世界に行ったメンバーは、君たちの尽力でみな帰還しているよ。……異世界に自ら残った、という三沢くんを除いてだが」

「三沢……」

 俺と十代が最終決戦に向かう前に、三沢はあの異世界で敗北した者たちを救いに行く、と言い残して異世界に残った。自分たちがこのアカデミアにいるということは、どうやら三沢の目論見は成功したらしいが……その三沢当人は、アカデミアに帰って来てはいないらしい。

 ……俺に、アカデミアに迫る危機があることを言い残して。

「三沢は言いました。アカデミアに、この世界に危機が迫っていると」

「確かに。十代くんが幾度となく交戦しているという存在でしょう」

 エクシーズ召喚を操るミスターTと名乗る男。先日十代と戦っている、恐らくは異世界からの侵略者がこの世界に現れているという。鮫島校長が言うには、彼らが何者かも未だに不明らしいが、例の黒いカードを使ったその召喚法に対抗するため、鮫島校長はペガサス会長と協力し、《エクシーズ召喚》というシステムを作った、ということ。

「同じルールで戦えるならば、あの《No.》にも勝ち目はあります。エクシーズ召喚は既にこの世界に普及しているでしょう」

 デュエルのルールを新たに整備することで、異世界の謎の召喚法からエクシーズ召喚というルールに落とし込み、同じ土俵でデュエル出来るようにした、と。そのおかげで、少なくともデュエルになるのならば、あとはデュエリストの腕前次第だ。

「鮫島校長。なら……俺を、アイツ等と戦わせてくれませんか」

「……それは、アカデミアの生徒である前に、この世界を守る戦士であろう、ということですか?」

 鮫島校長の問いかけにコクリと頷いた。異世界でエクゾディアを使って仲間の命を狙った俺が、今更どの面下げて一緒に学生生活を送れるというのか。会わす顔がない――などといったレベルの話ではなく。

 ――この手で殺したも同然の者もいるというのに。

「君もですか……」

「君、も?」

 鮫島校長は小さく嘆息すると、その机からある書状を取り出した。退学届と銘打たれたその手紙には、十代の名前が描かれている。

「十代くんも似たようなことを言ってきました。……ですが、二人の申し出はこのアカデミアの校長として、受けることは出来ません」

 異世界に行く前と様子が変わった十代も、俺と同じような考えを持っていたらしい。鮫島校長はその手紙を再び机の中に仕
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ