―『帰る』べき場所―
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。特にマルタン。今回は負けだけど、デッキもしっかり変わって」
かつてのデッキから【ジェネクス】という形作られたデッキとなり、こうしてデュエルを魅せてくれる程になっていた。あまり先輩面していられるほど交流があった訳ではないが、かつての学園生活を思い出してマルタンに語りかける。
「ありがとうございます……遊矢先輩のを、参考にして」
「わたしも手伝ったよ!」
嬉しそうに語る二人だったが、その表情が少し暗くなっていく。その後、何かを決心したような顔つきで、マルタンが口を開いた。
「僕……これから転校するんだ。遊矢先輩の目が覚めるまで、って随分待ってもらったから……もうすぐ。最後に遊矢先輩にデュエルを見てもらえて、良かった」
負けちゃったけど――と、マルタンの言葉は続いていく。ノース校などを始めとした、アカデミアの分校に転校するという……それぞれの事情を問い詰めることはしないが、マルタンはこの本校からいなくなってしまうらしい。
「……今度会う時」
「え?」
「今度会う時、絶対にデュエルしよう」
口約束ではあるが。この世界を今の敵から守ることが出来れば……その時はこの約束を果たそう。マルタンもその言葉に多少驚きながらも、力強く頷いてくれた。
「……はい!」
……そうして積もる話は後にして、レイとマルタンと別れた俺は、アカデミアの屋上へとたどり着いていた。十代がよく昼寝していたところであり、アカデミアの前の方の全てを見渡すことが出来る場所だ。森やオシリス・レッド寮の向こうには、輝く太平洋を臨むことも出来る。
「俺は……」
温かい潮風が俺の肌を触り、俺の呟きが潮風に乗っていく。その呟きを聞くものも答えるものは他にはおらず、そこにいるのは俺しかいない。
「……帰り、たいっ」
目が覚めて鮫島校長と話して、帰ってきたアカデミアを見て回って、レイとマルタンのデュエルを見て。俺は強くそう思っていた……位置の問題ではなく、あのアカデミアでの生活に。仲間と競い合って笑い合ってデュエルしてデッキを構築して授業を受けて、デュエル・アカデミアでしか出来ない学園生活を。
――それだけではなく。
「――守りたい」
その学園生活を送っている仲間を守りたい。この世界を狙っているという者たちから。それが、あの異世界で許されざることをした俺の罪滅ぼしと、アカデミアをもう一度見て回った俺の意志。
「……決心は、ついたかい?」
その声に反応して後ろを見てみると、いつの間にかやってきていた吹雪さんが立っていた。その格好はオベリスク・ブルーの制服やアロハシャツではなく、ダークネスに操られていた際の黒いコート。異世界からの侵略者の正体を誘うために、ダークネスの力を
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