39.魔導書事件
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を考えてるんなら、おやめよ!」
ベルコンビを出迎えたミアは二人の顔を見るなり、そう告げた。
「まだ何も言っていないのだが………悟られてしまったか」
「分からいでかい、その使命感と怒りに燃える瞳!言っておくけどねぇ、今回のこれは冒険者じゃなくてギルドや魔法使い連中の仕事だよ!分かったら危ない事に首突っ込もうとしないでダンジョンにいきな!」
「で、でも……お店をあんなにされて放っておけませんよ!」
「黙りなッ!!」
ベルたちの肩がビクリと震えるほどに激しい怒鳴り声だった。
声を発した張本人のミアの表情は、普段からは考えられないほどに暗く、覇気がない。
「……長い事冒険者してたけどね。アタシは、あんな人間の死に方を初めて見たよ。魔物に食い殺される光景を見て胃袋の中身をもどしたことはあったけど、人が前触れもなく焼け死んで……久しぶりに怖いって感情を思い出しちまった」
ミアと同じ部屋にいたのは、被害者男性が生きながら燃える光景にショックを受けてナーバスになっていた人たちだった。それを慰めていたミアもまた、傷心していたのだ。
話によると、燃えたというその冒険者は『魔導書』らしきものを読んで突然燃え上がったという。そのまま苦しみ、最後には魔法暴発という魔力の暴走を起こして爆発したという。余りの高熱に、彼の骨は装備こと融けて原型を留めていなかったそうだ。
戦いの中で死ぬそれとは根本から異なる、得体の知れない死。もしそれがリングアベルやベルの身に起きると思うと……あの時、ベルの手に魔導書が渡った所為で同じことが起きていたとしたら……戦いに身を置かずとも一方的に殺される未知の恐ろしさが、ミアの顔を曇らせていた。
「いいかい、アタシの事を思うっているんなら……この事件を追うのはやめておきな」
「……あい分かった、ミス・ミア。そこまで言うのならば俺達は手を引こう。魔法に関しては門外漢でいる事もまた事実だし、火傷をする前に身を引くよ。ベルも、それでいいな?」
「先輩、本当にいいんですか?僕は正直……このまま手を引いてしまうのは嫌です!何もしないでいると余計に自分が無力に思えてきて――」
「ベル、やめろ。お前、『魔導書』を開いてアッサリ気絶したのを忘れたか?未知の相手に対して何の知識もなくこの件に首を突っ込めば、二次被害を生むだけだ。それにこの件にもし犯人がいたとしたら、【ヘスティア・ファミリア】が標的にならないとも限らない。――これは感情だけの問題じゃないんだ」
「ベル様、どうかここは首を縦に振ってもらえませんか?」
「………分かり、ました」
横から話に割って入ったリューにまで言われ、ベルは渋々その意志をひっこめた。
誰の目から見ても納得などしていないのは分かりきっている。そ
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