第二十六話
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「小十郎!」
「御心配召されるな! この程度の数、敵ではございませぬ!!」
いや、そりゃ分かってるけども……心配なんだよ、お姉ちゃんは。
大事な弟一人置いて逃げられるわけがないでしょう?
「姉上、竜の右目が信じられませぬか?」
にやりと笑った小十郎はこればかりは譲れないと悪い顔をしている。
追っ手を次々と雷で絡め取って倒していく姿はなかなかカッコイイ。
「早く、お逃げ下され!!」
「……ごめん! 小十郎、任せた!!」
私が二の足を踏んでいれば小十郎の邪魔になる。今はそれよりも逃げ延びて、応援を頼む方が先だ。
向かうは奥州、政宗様の下。
と、そこまで考えてふと思考が止まった。
……明智光秀がいるってことは、ここってどう考えても関東でもないよね。西の方だよねぇ……?
ってことは、ここから奥州まで戻って援軍呼びに行って小十郎助け出すまでの間にどれだけ時間が掛かる?
仮に全部捌ききったとしても、これだけの被害を出してるんだからあの変態も血眼になって探すだろうし……
流石に一対多数は相手が小十郎とはいえ婆娑羅の力と体術だけじゃ分が悪すぎる。
多勢に無勢って、さっき考えてたくらいだしね。
じゃあ仮に掴まったとして、今までは私の結界でどうにか凌いできたけれども、私がいなくなったらあの子どうするつもりなの?
あの変態、痛めつけられるのも好きだけど拷問にかけるのも好きだって言ってたじゃない。
小十郎を拷問にかけたがってた節があるから、もし掴まってあの変態に手渡されたとしたら……。
いかん、悠長に逃げてる場合じゃない。てか、逃がすんなら小十郎を逃がすべきだった。
馬を止めて急いで来た道を引き返す。
地理的なことを全然考えてなかった自分のアホさに腹が立ったけど怒ってる場合じゃない。どうにかして助けなきゃ。
必死になって馬を走らせて小十郎を助けに向かっていたその時、
突然目も開けていられないほどの突風が吹き、目の前ででかい黒い影が通り過ぎていくのが微かに見えた。
私は抵抗することも出来ないまま、そのまま馬ごと吹き飛ばされてしまう。
で、こういう場合お約束的に吹っ飛ばされた先に崖があるもんだけど、
やっぱりお約束はお約束で崖があってそのまま真っ逆さまに落下していった。
あーもう! 小十郎を助けに行かなきゃならないってのに、一体誰よ!!
重力の力を発生させて、落下速度を緩めようとしたんだけれども上手く力が発動しない。
何度か頑張ってみるけれど、やはり重力を上手く操れない。
こんな状況に覚えがある分嫌な予感を本当に抑えきれない。
しまった、連日力を使いすぎてオーバーヒートしたんだ……!
婆娑羅の力を使い過ぎるとしばらくの間
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