第二章
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「詠うんだ」
「歌じゃなくて詩だから」
「そちらになる」
「成程ね、それじゃあ」
「今からはじめるか」
「僕もマナスチになるのなら」
ビタリは素直にだ、祖父に答えた。
「それならね」
「よし、じゃあ教えるな」
「そしてだね」
「そうだ、御前もチャパンを着てな」
そしてというのだ。
「アク=カルパクを被ってな」
「そしてだね」
「詠え、いいな」
「そうするよ」
また素直な返事だった、そして。
ビタリは祖父からそのマナスを学んだ、だが。
とにかく長くてだ、学んでいる中でぼやくのだった。
「ちょっとね」
「長いからか」
「中々ね」
「覚えれれないな」
「全部だよね」
「そうだ、全部だ」
それこそというのだ、祖父も、
「覚えるんだ」
「そうだね、じゃあ」
「何年かかってもな」
それでもというのだ。
「覚えるんだ、いいな」
「そうするよ、そして」
「御前もマナスを詠うな」
「マナスチになるんだね」
「その通りだ」
まさにというのだ。
「わかったな」
「それが家の仕事だしね、それにね」
「それに。何だ」
「確かにマナスは長いけれど」
それでもと言うのだった。
「嫌いじゃないしね」
「いい話だな」
「うん、キルギスの話だからね」
他ならぬ彼等の国のだ。
「建国と僕達自身のことを語った」
「だからいいんだ」
マナスはとだ、オルズベックはビタリに言った。
「マナスはな」
「そうだね、僕達にとってね」
「御前はマナスチになってな」
「それでマナスを詠っていくんだね」
「そうしろ、いいな」
「わかってたよ、じゃあ長いけれど」
それでもとだ、ビタリも答えた。
「全部覚えるよ」
「そうしろ、そうすればな」
「マナスチの服も着られるね」
「ああ、今度見てみるか?」
祖父は穏やかな声で孫に問うた。
「チャパンやアク=カルパクをな」
「マナスチのその服を」
「ああ、わしが着てみようか」
「祖父ちゃんもマナスを詠う時は」
「いつも着ているからな」
それでというのだ。
「見てみるか」
「うん、それで出来たらね」
ビタリは祖父にさらにリクエストをした。
「マナスも詠ってくれるかな」
「勿論だ、よく見ろよ」
「それじゃあね」
こうした話をしてだった、オルズベックは数日後孫の前にそのチャパンを着て出た。その服はというと。
下は長袖で白くだ、黒地で膝までの丈のある黒く長い服の袖や裾のところは金の唐草模様が入っておりズボンも黒だ。ブーツは白でやはり唐草模様が入り服の黒と映えている。
帽子はフェルト帽で白い、手には笛がある。
その格好で孫の前に出てだ、彼はビタリに言った。
「この黒い服がな」
「チャパンだね」
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