第三十四話 秋山大尉!井伊直弼も陶芸をしていた!!その十二
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秋山は瞬にだ、こう言った。
「我々はです」
「はい、ここはですね」
「私の渾身の作品を作ります」
こう言うのだった。
「全身全霊を賭けた」
「その作品は」
「これです」
ろくろを回して作る、それを見て。
瞬は驚いてだ、秋山に言った。
「何と、これは」
「はい、茶器ですが」
「織田信長でさえ持ったことのない」
「かつてない碗をです」
作るというのだ。
「これより」
「そうですか、では私も」
「お力をお貸し下さい」
「喜んで」
瞬は秋山に強い声で頷いた、そして彼等の茶器を作るのだった。
観衆達はその二人に熱い声援を送る、だが。
この二人だけは違っていた、最早マンネリの展開である。
「何が天下の茶器だよ」
「俺達の万暦赤絵以上だってのかよ」
「じゃあ平蜘蛛以上の茶器かよ」
尚平蜘蛛は碗ではなかった。
「そう言うのかっての」
「万暦赤絵は最高の品だろ」
「志賀直哉だって作品に書いてるんだぞ」
「灰色の月と並ぶ名作だぞ」
志賀直哉後期の代表作の一つである。
「その俺達以上ってのか」
「言ってくれるな、おい」
「万暦赤絵は明の陶器で最高の品だぞ」
「万暦年間のちょっとしか期間だけのものなんだぞ」
「肝心の万暦帝自体が政治しなくなって国が衰えて赤絵自体も衰えたけれどな」
「凄い品なんだぞ」
ニートもかくやという程の職務放棄を何十年も行った。しかもその間自分の贅沢には余念がなかったというから呆れる。
「その俺達が作る万暦赤絵以上か」
「作られるものなら作ってみやがれ」
「勝つのは俺達だ」
「主役は絶対に勝つんだよ」
こう力説する、だが。
尚智は不安になってだ、弟に囁いた。
「公に言うパフォーマンスはこれ位にしてな」
「実際は、だよな」
「俺達は絶対に勝たないといけないんだよ」
「金と写真集、DVDの為にな」
つまり自分自身の為だけにである。
「勝たないといけないんだよ」
「やってやるぜ」
「だから絶対にな」
「勝ってやるからな」
「それでだよ」
尚智はまた尚武に囁いた。
「今度はな」
「ああ、何をするかだな」
「ここんところ料理に雷は使ったな」
「お陰でこの二つはルールで禁止されたぜ」
勝負中の調理と落雷の術を使うことをだ。
「どっちも使えない」
「じゃあどうして邪魔してやるかだな」
邪魔をすることが前提である。
「果たしてどうしてやるか」
「ここが知恵の見せどころだぜ」
「そうだな、じゃあな」
「今回のルールの盲点はな」
二人は赤絵を作りながら話していく、そして。
自分達の陶器を窯に入れてからだ、何故か。
二人は思いきり両手を振り被ってだ、目の前に。
YとGのマークを着けた帽子を被った作者が大
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