Fate/stay night
1131話
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てる。
「遠坂も遠坂だよ。何で澄まし顔をしてるんだ!? 『私の全てをアークエネミーで埋めて』とか『あんたは一生私のものだけど、私も一生あんたのものよ』とか言ってたくせに!」
ごふぅっ!
綾子の言葉を聞いていた凛が、突然噴き出す。
幸いだったのは、紅茶が殆ど口の中に残っていなかった事だろう。
おかげで周囲に紅茶を撒き散らかさないで済んだのだから。
「あ、あ、あ、綾子! あんたねぇ! 何だって私にまで絡んでくるのよ!」
「うるさい! 大体アークに抱かれてヒィヒィ言ってた癖に、何もそんな事はありませんでした、みたいな風を装ってるのよ」
「それを言う!? それなら、あんただってアークエネミーに思い切り抱きついて普段の姿なんか思いも寄らない程に甘えてた癖に!」
そこから始まった言い争いは、正直聞いている俺が一番ダメージがでかかったように思える。
学校に入学してから今までのお互いの失敗を、事細かに言い争っているのだ。
女同士の喧嘩って怖いとつくづく思う。
俺は記憶を失っているけど、凛や綾子を抱いた時の自分の行動を思えばそういうのには強かったんだと思う。……こういう風な体験もしてたんだろうか。
ともあれ、一旦治まるまで俺は気配を殺してその場から離れ、台所を漁ってクッキーを発見し、それを食べて気持ちを落ち着かせる。
そのまま数分。未だに居間の方から聞こえてくる声を聞き流しながら、クッキーを味わう。
いや、これ本当に美味いな。
サクッとした歯応えと同時に、口の中で溶けていくかのように消えていく食感。
それでいて、微かにチョコの風味が口に広まる。
うん、個人的にはマカデミアナッツとかが入っているクッキーが好きなんだけど。こういうのも悪くない。
「……アークエネミー、あんた、いないと思ったらいつの間にこっちに来てたのよ。しかも取って置きのクッキーまで食べて……ほら、居間に戻るわよ。これからの事を相談するんだから」
そう告げ、俺を引っ張っていく凛。
居間へと戻ると、さっきの言い争いは凛の方が勝ったのだろう。綾子が頭を抱え、うーうーと唸っている。
……結局最初に戻っただけじゃないのか?
ふとそんな風に思うも、取りあえず綾子を落ち着かせる必要があるだろうと判断し、綾子の方へとクッキーを差し出す。
「……アーク?」
「ほら、これでも食べて元気出せ。お前が普段とは違ってベッドの中では甘えて来て可愛いってのは俺が知ってるから、気にするな」
「あああああああああああああああああああ!」
頭を抱える綾子。
「あのねぇ。あんたが追撃を加えてどうするのよ。ほら、綾子。とにかく一旦正気に戻って。これからの事を話し合うんでしょ?」
「ああ……ああ、うん。そうだな。確かにこれ
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