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赤い目
7部分:第七章
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みたいに何時何処で何をするか、全くわからんのじゃ。じゃから退治には手間がかかるのじゃ」
「厄介な連中なんですね」
「厄介でなければ魔物ではないぞ」
 老人は店から出るとその手に火を出してきた。
「それが魔物じゃからな」
「ところで何で火を出しているんですか?」
「これか?」
 見れば誰もいなくなった店に火を点けていた。
「後始末じゃよ。最後のな」
 老人は特に気にすることもなくこう説明した。
「この街の人も人を喰っていたとか知りたくはないじゃろう。それをうやむやにするんじゃ」
「そうじゃなくて」
「火は悪しきものを浄化するのじゃ。最後はこれで締めねばな」
「いえ、そうではなくて」
「何が言いたいんじゃ、それでは」
 あまりにも高志がしつこいので顔を向けてきた。
「放火ですよ、これって」
「心配無用、警察の上の方にはもう話を通してある」
 彼は言った。
「こうした事件はな、結構多くてな。後の処理は任されておるんじゃよ」
「でも周りに火が」
「その心配もいらんよ」
 もう火は店全体を包み込んでいた。
「術の火じゃからな。この店だけ燃やせば終わりじゃ」
「そうですか」
「これで。何もかも終わりじゃ」
「はあ」
「この街も平和になるさ。人の目も暫くしたら元に戻るぞ」
 こう言い残して老人は燃え盛る店を後にした。高志はその後ろをついていく。こうして人肉ラーメン屋はこの街からなくなった
のであった。
 事件は火事で片付けられた。老人の言う通りあのラーメン屋だけが全焼し後には何も残らなかった。とりあえず店長、つまりあの怪物が焼け死んだとだけ新聞の記事には書いてあった。だがそれが本当のことではないのは高志だけが知っていることであった。そして老人の言う通り街の人々の目は次第に元に戻っていった。こうして街は何事もなかったかの様に普通に戻ったのであった。もっともこれを知っているのも高志だけであったが。
 最初は皆そのラーメン屋がなくなって残念そうにしていたが何時しか皆忘れてしまった。そして他の美味い店に入るのであった。
「ねえねえ」
 また葉子が高志に声をかけてきた。
「またラーメン屋なのかい?」
「違うわよ」
 葉子は困った顔をする高志にそう返した。
「そういつもいつもラーメンばかり食べてるわけじゃないわよ、あたしも」
「そうなんだ」
「それでね」
 葉子は上機嫌で高志に話してきた。
「今度は美味しいハンバーガーショップを見つけたんだけれど」
「ハンバーガーショップ!?」
「そうよ。本格的なハンバーガーを出してくれてね」
 見ればその目が今までとは違っていた。
「アメリカのあれみたいに大きくておまけに美味しくて。一度食べたら病み付きになるんだから」
「病み付きに」
「あんたも一度言って
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