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「彼をCランクに!?馬鹿げてる!!!」
その日、歴史が変わった。
「しかしねえ、知識が足りなすぎ―――」
バン!!!
黒縁のメガネをかけたスーツ姿の青年がテーブルを叩き、ほかの役員の声を妨げた。
「知識なんて後でもいい!!!ヒーローに一番大事なのは強さだ!それ以外はこちらがサポートすればいい!違いますか!?」
その、もっともな意見に、ほかの役員は黙り込んだ。彼らも始めてなのだ。体力テストでは歴代の記録をぶっちぎって全科目一位を取っておきながら、知識面が足を引っ張りまくってギリギリCランクになるという『大馬鹿者』は。
確かに、ヒーロー協会での基準に照らし合わせると、いくら強くても馬鹿だからCランクというのは間違っていない。ランクというのは、総合成績で決まっているからだ。
しかし、彼の場合は極端過ぎた。そして、見逃すには惜しすぎるのである。
「怪人や怪獣の出現が増えてきているのは知っているはずです!彼のような超新星を、Cランク程度の簡単な任務で遊ばせておく理由なんてどこにもありません!Sランクにして、万全のサポートを付けるべきです!!!」
この一言が決め手となった。
その後もポツポツと反論の声は出たものの、その賛同者は多くならなかった。それに、既にSランクになるのが確定していたジェノスという新人が、その男を『師匠』と呼ぶのを聞いた職員もいて、その言葉も後押ししたのである。
その日、ヒーロー協会に新たなSランクが二人生まれた。
これが、世界の運命を少しずつ変えることとなる。
―――ある意味では、黒縁メガネの青年・・・『モブA』君は、世界を救った救世主だといえるのかも知れない―――
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