Another110 友情
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希望は簡単に打ち砕かれた。
そこに立っているのは大輔だった。
大輔「一乗寺さん……治さんのお宅ですよね?」
穏やかな笑みをを浮かべて大輔は一乗寺家を訪れた。
「はい」
大輔「どうも」
お茶を出され頭を下げる大輔。
父はこんな時間に訪れる子供に不信感を抱いていた。
だが治と知り合いらしきこの少年が何か知っているかも知れないと思ったのだ。
大輔「…………単刀直入に聞きます、一乗寺治さんの事……心配ですか?」
「えっ!?」
「当たり前だろう!?」
親が子供を心配するのに理由は無い。
そんな事を聞く大輔に父は怒鳴り声を上げる。
深夜に近所迷惑であるという一般的考えは一時的に頭から消え去る。
大輔「……本当に?本当に“治”さんと“賢”を見つめているんですか?」
治と賢を強調させる大輔。
「………………当たり前だ」
父の絞り出す声に大輔は少し黙り瞳を閉じる。
大輔「俺には、お2人が“治”さんや“賢”を見ていないように思えるんですが?」
「!?」
母親は絶句し父親はソファから立ち上がる。
しかし大輔は動じず。
大輔「……本当は……“治”さんや“賢”のことを天才少年としか見てないんじゃないですか?」
「……君なんかに……何が分かるって言うんだ……!?」
大輔の胸倉を乱暴に掴む父。
どうしたらいいか悩む母。
大輔は父の腕を掴む。
大輔「そんなこと知るか!!だから聞いてるんだよ!!あんたらは本当に一乗寺“治”さんを心配してんのか!?あの人があんな風になった理由、責任が誰にあるって思ってんだ!?」
「責……任……?」
少し力を弱める父。
明らかに困惑している。
不機嫌な表情で胸倉を掴まれている大輔はなお続ける。
大輔「そりゃ親だったら子供が“天才”だったら気分はいいだろうよ!!色んな賛辞を貰えて嬉しいだろうよ!!でもな、“あるがままの自分を見てもらえない子供の心”をあんたらに理解出来るか!?治さんは頭は良くてもまだ子供なんだよ!!まだまだ親に甘えたい盛りの子供!!何でそれに気付かないんだよ!!!!」
大輔の怒声に父親の手は震えていた。
時間が凍り付いたようだった。
大輔は治と賢の父親の腕から解放され溜め息をついた。
大輔「……もうすぐ帰るから……だから……それまでに心の中でちゃんと整理をしておいて欲しい。“治さんは治さん”だから」
「!?治ちゃんが……帰ってくる!?それは本当なの!!」
母が玄関に向かう大輔を追う。
父はまだショックを受け
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