5部分:第五章
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「どういうことだ」
「知れたこと。人間が化け物の前に姿を現わす時は一つしかないじゃろう」
「喰われる為か」
「面白いことを言う」
だが老人はその脅しを一笑に伏した。
「そんなことの為に来る馬鹿がおるか」
「ではわからんな」
怪物は笑いながら応えた。
「では何の為なのか」
「主を倒す為じゃ」
老人は言った。言いながら懐から何かを取り出す。
「覚悟せよ。地獄で今までの罪を償わせてやる」
「やってみせるがいい」
そう言いながら怪物はその手に巨大な刃を出してきた。
料理に使うものではなかった。まるで鉈の様に巨大な刃であった。高志はそれを見て怪物を童話等に出て来る山姥の様に思った。
(そういえば近いかも)
ふとここでこう思った。そんな彼に老人が声をかけてきた。
「あれを出しなされ」
「あれって?」
「さっき渡したじゃろう。小刀じゃ」
「あれですか」
「そうじゃ。わしはこの怪物を倒す。それで身を守りなされ」
「わかりました。それじゃあ」
「うむ」
自分の身は自分で守れということらしい。だがどうもそれだけではないような気もした。しかしそれは黙っていた。それより
も速く老人と怪物の戦いがはじまったからである。
老人は懐から札を出していた。そしてそれを怪物に投げつける。
「まずはこれを受けよ!」
「ヌッ!」
札は一直線に怪物に襲い掛かる。その動きは只の札のそれとは思えなかった。まるで流星の様であった。
それが怪物に張り付く。するとそこから白い蒸気が沸き起こった。塗炭に怪物が苦しみはじめた。
「グオオオオオオオ・・・・・・」
「どうじゃ、この札の威力は」
老人は呻き声を挙げる怪物を見据えながら言った。
「効くじゃろう。何せ主の最も忌み嫌うものが書かれているからな」
「わしの忌み嫌うもの」
「麒麟じゃ」
老人は言った。
「麒麟・・・・・・」
それを聞くと怪物の顔がさらに見抜く歪んだ。恐怖の色が浮かび上がったのだ。
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