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赤い目
4部分:第四章
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て灯りを見つけた。そして灯りを点けると冷凍庫に向かった。こうした店でよく使われる非常に大きな冷凍庫であった。
 そこを開ける。そして中から何かを取り出した。それを高志の前に出した。
「これじゃ。やはり思った通りじゃった」
「・・・・・・・・・」
 高志はそれを見て絶句した。それは人の頭であったのだ。若い、茶色の髪をした女の頭であった。氷漬けになりながらも虚ろな目で高志を見上げていた。
「頭」
 ようやく声を出せた、まだ信じられないといった顔で呟いた。その声も震えていた。
「これでわかったじゃろう」
「はい」
 老人の言葉に誘われる様に頷いた。
「本当に人の肉を使ってたんですね」
「そこにあるスープの中を見てみるがいい」
 老人は側にあるスープの鍋を指差した。するとそこにも人の頭がった。髪の毛と溶けた目玉と脂、そして剥がれた肉が浮かんでいる。その奥に中年の男の首があったのだ。
「この店では頭からダシを取っている様じゃな」
「頭から」
「うむ。ここでは違うようじゃがこうしてダシを取ることは多い」
 老人は言った。
「長浜のラーメンとかな。あれは豚の頭でダシを取る」
「そうだったんですか」
「うむ」
 九州のラーメンは豚骨が主流である。コクの強い白いスープのラーメンが多い。その中でも長浜のラーメンは強いコクで知られている。豚の脳味噌がよいダシを出すと言われているのだ。
「それと同じじゃ。ここでは人の頭を使っていたのじゃ」
「うえ」
 高志はそれを聞いて気分が悪くなった。今覗いた鍋の光景が目から、脳裏から離れなかった。
「吐きそうか?」
「いえ、大丈夫です」
 何とかそれは抑えた。だが気分が悪くなったのは事実であった。
「そうか。これだけではないからな。まだ吐いてはならんぞ」
「まだあるんですか」
「見てみるがいい」
 そう言いながら今度は冷凍庫の中を指差した。その中にあるものは大体予想がつく。見たくないというのが本音だった。だがここは見た。何とか勇気を振り絞った。
 覗いてみた。するとそこには頭よりもっとおぞましいものがあった。高志はそれを見てまた絶句してしまった。
「う・・・・・・」
「驚いたか」
 老人はそんな彼に声をかけてきた。
「はい・・・・・・」
 高志は頷いた。そこには切断された手や足、骨、そして内臓があった。耳や鼻、そして何かよくわからないものもあった。いや、それはよく見れば胎児であった。
「内臓まで・・・・・・」
「おそらくレバニラや及第粥に使っていたんじゃろう」
「及第粥」
「中国にあるお粥の一つじゃ」
 老人はこう説明した。

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