第二百七十二話
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第二百七十二話 魔法の水を
春奈はお茶の後でだ、法衣に着替えて家の庭に出てだった。そこでステッキから水を出して一緒にいる使い魔達に言った。
「これをね」
「はい、さらにですね」
「熱を加えてですね」
「色々してみようって思ってるの」
春奈はいつもの穏やかな口調で言った。
「温度を変えてね」
「出される水の温度を」
「そうして」
「ええ、ただ」
ここでだ、春奈は使い魔達にこうも言った。
「流石にあんまり熱かったり冷たかったりすることはね」
「ご主人にはですか」
「まだ」
「ええ、出来ないわ」
こう言うのだった。
「華奈子ちゃんと違うから」
「あの方は火を使われますから」
「暑いのは大丈夫ですね」
「ですがご主人様は水です」
「水に熱気を含ませても」
使い魔達も言う。
「限度がありますね」
「どうしても」
「沸騰させる位、いえ」
春奈は水の温度を実際に少し上げつつ言った、。
「五十度位でね」
「もう、ですね」
「出せなくなりますね」
「そこまでいくとね」
とても、というのだ。
「やっぱり無理があるわ」
「では冷たい方ですね」
「氷の方は」
「あまり冷たいと、だけれど」
それでもとだ、使い魔達に答えつつだった。
水の温度を下げてみる、そうしてイーとリャンに話した。
「氷にする位はね」
「出来そうですか」
「そちらは」
「寒いのは嫌いじゃないし」
春奈の個人的な好みも出ていた。
「氷も嫌いじゃないから」
「熱いより寒い方がですね」
「そちらの方がですね」
「ええ、出来そうだから」
それで、というのだ。
「やってみるわね」
「ではお試し下さい」
「実際に魔法を使って」
「そうしてみるわね」
こうしてだった、春奈は水の温度を下げていった。そうして氷の魔法に挑戦するのだった。
第二百七十二話 完
2015・9・12
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