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赤い目
2部分:第二章
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老人はとても只の易者ではないようであった。
(名のある人なのかな)
 高志はそれを見て思った。だが確証はない。そんなことを思っている間に老人は茶を彼に差し出してきた。
「まあ飲みなされ」
「はい」
 二人は向かい合ってちゃぶ台に座った。見れば茶も結構高そうなものであった。増々只の易者ではないように思えてきたのであった。
 茶を飲む。実際に飲んでみるとやはり美味かった。いつも家で飲んでいるものとは明らかに違っていた。
「美味いじゃろう」
「ええ、まあ」
 高志は老人に言われるままそれに頷いた。
「この茶は普通の茶ではないからのう」
「違うんですか」
「そうじゃ。この茶は力を高める茶じゃ」
「力を」
「霊力をな。高める効果を持っておる」
「霊力!?」
 高志はそれを聞いて顔を顰めさせた。
「まさか。そんな御冗談を」
「いやいや、本当のことじゃ」
 老人は笑いながら応えた。
「これからのことを考えるとな。飲んでおかねばならんのじゃ」
「これからですか」
「左様。近頃おかしなことに気付かぬか」
 老人は高志に尋ねてきた。
「おかしなことですか」
「もう気付いていると思うがの」
「目のことでしょうか」
 彼はとりあえず思いついたことを尋ねてきた。
「最近どういうわけか赤い目をした人が多いんですけれど」
「あんたは学生さんじゃな」
「はい」
 高志は答えた。
「中学生です」
「学校でもそうかな」
「そうです。クラスメイトや先生も。皆目が赤くなってきています。それも段々増えていってます」
「そうか。それは思ったより深刻じゃな」
 老人はそれを聞くと目を閉じた。そして着物の中で腕を組んで大きく嘆息した。
「何かあるんですか?」
「中国では何故目が赤くなると言われているか知っているかの」
 老人はこう尋ねてきた。
「目が、ですか」
「中国ではな、人を食うとその罪により目が赤くなると言われておるのじゃ」
「人を食べる!?まさか」 
 流石にそんなことは信じられなかった。
「街中の人がですか。まさか」
「じゃが確かに目が赤くなっている者は増えていよう」
 老人はそれを必死に否定しようとする高志に対して言った。
「それはそうですが」
「それが何よりの証拠じゃ。わしはそれを聞いてこの街に来たのじゃからな」
「引っ越されてきたのですか」
「うむ。どうやらこの街には魔物がおる」
 彼は言った。
「魔物が」
「そやつが人の肉を街の者に食わせておるのじゃ。赤い目の者がいるのはそのせいじゃ」
「けれどどうやって」
 高志はそれでもわからなかった。
「あれだけ多くの人に。どうやって食べさせるんですか」
「方法は幾らでもある」
 彼はまた言った。
「店に出すとかのう」
「店」

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