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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
第四十話 似て非なるモノ
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人に要らぬ情を割いて、身内を貧させたり危機に合わせたりすれば本末転倒。情けは人の為に成らず、とも謂うが“情けは仇”または“情けは質には置けぬ”という正反対の言葉もある。

 万物は因果応報、情けを掛ける相手を選ばねば要らぬ仇を生むだけとなる。楽観のツケは自分と大切な人間の破滅となる。

 情が深いのと、情に流されるのは似て非なる事柄なのだ。彼はそれを弁えている。そして、仇を生むだけの情けは徹底的に排除している。

 彼は、非常に合理的で理性的な人間だ。それ故にしばし結果として残忍に見える場合がある……彼が四国で行ったのはまさにその典型だったのだろう。


「いやな予感ですか?」
「ああ……巌谷中佐とも連絡を取る必要があるかもしれないな。」

 守るモノがいる場合、攻撃に全力を注げないことがある。
 XFJ計画を利用し、その赴任を少々前倒しにして唯依を海外に逃がすことも思案に入れておいたほうがいい。
 死ねない闘いよりも、死なない闘いのほうがずっと楽だ。

「まぁそれは兎も角、俺の女に寄ってたかって手を出してくれたんだ。―――地獄を見てもらう。」

 そういって酷薄で、狂気を感じる笑みを浮かべる忠亮だった。

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