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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
第四十話 似て非なるモノ
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己の根源にあるのは守りたい、という慈悲の心なんかじゃあ無い。
守るモノになりたいっていう身勝手極まりない悪性だ。自分の望みを叶えるのに、敵を欲し、危機を求める。
そして、それらを害する事で自らの欲望を満たす……な、禄でもない獣そのものだ。悪鬼なんだよ、俺は。」
自らの欲を満たすために、自分の大切な人間の危機を求めずにはいられない性。
その本性は血に飢えた獣のように悲劇と闘い、そして流血を望む鬼そのものだ。
こんな本性……どうして憤怒せずに居られる!?どうして憎悪せずに居られる!?どうして絶望せずに居られるッ!?
「本当に、禄でもない……」
自らの悪性、それに気が狂いそうになる。自分自身を縊り殺したい衝動にすら駆られる。
かつて、己はその本性から逃げるために剣の鍛錬に没頭した。いつか守りたいと思えるものが現れる、その時に己の無力に涙したくない。
そんな理由を取ってつけて、ただ走り続けた。振るうべき目標すらも定まらずただ力を求め続けた。剣に己の才能を見出し、修練しその効果を試したくて戦場に身を投じた。
BETAという人類が逆立ちしても勝てない超生物相手の闘いだ。それに挑み続ければ最強の力が手に入ると思った。半ばで果ててもその死には意味がある。
勝てば儲けもの、死んでも儲けもの。―――そうやって戦ってきた。だが、俺は死ねなくなった。
伊上ゆい、彼女が俺に呪いを掛けた。それは願いだろう、しかし己にとっては呪いも同然だった。
死に際を逃して生き恥を晒し、さらに死に場所すら選べなくなった修羅。こんな醜悪な悪鬼がほかにあるものか。
「大尉は意外と正義感にも篤い人なのですね。」
“それ故に、自らの悪性を許容できないのか。”
そんなことを思いながら青を纏う武士をバックミラーごしに見つめながら今井は目を細める。
この人の悲劇は、異常な執着や渇望を抱いている癖に倫理観や道徳が真っ当に酷く近い事だ。
本性と理性が致命的にかみ合っていない。だが、それが戦闘という特殊な状況下では完全にかみ合ってしまう。
「……お前にはそう、映るのか。」
「はい。ただ……大尉は些か以上に本質に囚われすぎている、とも見受けられます。」
この人の本質を見抜く眼力は本物だ。しかし、それ故に物事をやや深読みしすぎる帰来がある。
守るモノになりたい、その純粋とまでも言える願いは大切な誰かの危機と敵という存在の犠牲の上に初めて成り立つ。
大切な人の危機、それを望んでしまう己を許せるかと言われれば分からない。だが、そういうところが自分に無いか、と聞かれれば答えようがない。
人間という生き物は身に着けた技術は使わずにはいられない生き物だからだ。
恐らく、人間相手の殺し合
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