1部分:第一章
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なら一杯あるじゃないか」
「ところがそのラーメンは特別なのよ」
「そんなにいいの」
「そうよ。だから来なさいって、一度でいいから」
「来なさいって君と?」
「そうよ、他に誰がいるのよ」
半ば強制になってきた。
「折角女の子が連れて行ってあげるって言ってるのよ。断るなんて許さないから」
「そうは言われてもね」
だが気分が乗らないものは乗らない。やはり困った顔をしたままであった。
「何時か行くから」
「約束よ」
逃げることはできなかった。葉子は隙を作ることなく高志に対してこう言った。
「いいわね、逃げたら承知しないから」
「わかったよ。ところで」
「何?」
彼はずっと葉子の顔を見て話をしていた。そしてあることに気付いたのである。
「君最近勉強かゲームばっかりしてない?」
「!?どういうこと!?」
葉子はそう言われてキョトンとした顔になった。
「いや、目がさ」
「目!?」
「うん、赤いんだ。どうしたのかなって思ってね」
見れば少し赤くなっていた。だが今はそれ程赤くはない。少し充血したという程度のものであった。軽い結膜炎に見えるようなものであった。
「別に何ともないけれど」
葉子は答えた。
「そうなの」
「けど。そんなに赤い?」
「それ程じゃないけれどね」
彼はそう言って宥めた。
「けど。あまり酷いなら病院に入った方がいいよ。確か部活じゃショートだったよね」
「うん」
「あのポジションボールが飛んで来ること多いから。用心に越したことはないよ」
「わかったわ、そうする」
「何か最近目が赤い人多い様な気がするけれどね」
「そうかしら」
「これは僕の気のせいだと思うけれど。何か病気でも流行ってるのかな」
「怖いこと言わないでよ」
「御免御免」
そんな話をしながら学校での時間を終えた。葉子はソフトボール部に向かい高志は卓球部に向かった。彼等はそれぞれ全く違う部活に所属していたのである。
部活を終えて家に帰る。その途中擦れ違う人の目が赤いことが多いのに気付いた。
「あれ、まただ」
高志はそれに気付いて呟いた。
「また目の赤い人がいるな。何でだろ」
それを不思議に思う。思いながらやはり病気でも流行っているのかと思った。
「目の病気かな」
咄嗟に失明やそういった不吉なことが思い浮かぶ。それで気持ちが暗くなるのを感じた。
慌ててその考えを消す。気持ちが暗くなってはどうにもならないからだ。
そして忘れて家に帰る。だが家でも同じことが起こっていた。
「お帰りなさい」
母が出迎えてくれた。だがその目はやはり同じ色であった。微かにではあるが。
「どうしたの、その目」
高志は驚いて母の目を見ながら言った。
「目?目がどうしたの?」
母はその言葉に驚い
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