第41話 暗闇の先へ手を伸ばせば
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こめかみに汗を流しながらつぶやいた。
"侵略虫"は首をゴキッと鳴らした。
「お前ら人の事を勝手につけた総称で呼ぶんじゃねぇよ。
俺たちにだって、ちゃんと名前があるんだからな」
そう言って、もう一度首をゴキッと鳴らした。
「まぁ、もうすぐに死ぬお前らには関係ないがな」
そう言って、ゆっくりと歩いて来る。指先までだらりと
力を抜いているはずの腕からは凄まじい圧力が感じられた。
「逃げろッッ!!!」
ジャックは全力で叫んだ。それを聞いて一瞬硬直したが
すぐに立ち直って、全員はある程度に分かれて別の道へと走り出した。
「さぁさぁ、早く逃げな。俺は優しいからな。一回ぐらいなら
見逃してやるぜ。だが、次はねぇから‥‥‥‥‥‥覚悟しろ」
基本的に軽い性格のように思われるが、最後の言葉には本物の殺意があった。
俺たちはすでにその場から去っていたが、彼が最後に放った威圧は
逃げている俺の足が一瞬止まりかかる程のものだった。
「足を止めるなジェーンちゃん!!」
しかし、ジャックから大声で走るように促されて、俺は反射的に足を出して
そのまま止まることなく再び加速を始めた。全員は火と"侵略虫"からの追手から
逃げるために必死で走り続けた。
「‥‥‥‥‥‥‥‥来たな、ネズミが」
その姿を見つけた男は口元を歪めながらつぶやいた。
そして、スイッチを入れて取って黒い塊を放る。
ゴトッ ゴロロ‥‥‥‥
黒い塊は丁度逃げている俺たちの前に落ちて転がった。
ジャックも、エリナも、そして俺も周りの火に気を取られて気づかなかった。
その存在に気付いていたのは、この中でただ一人。
「危ないッ!!!」
父さんは腕の傷のことなど忘れたかのように必死で走って
前を入っていた俺たち三人を押し飛ばした。そして次の瞬間―――――
ドゴオォォオオォォォオオオォォォオオォォオオォォォオオンッ!!!
俺は目を開けた。爆発したのがついさっきなのか、それとも時間が経ったのか。
記憶が途切れていて分からなかった。とりあえず身体を起こそうと手をつけたが
突然、左肩に激痛が走ったため俺はうめき声を上げた。
理由を知るために俺は左肩を見た。そして、俺はあまりのショックに絶句した。
視界にあったのはいつもの肌色の表皮ではなく、醜く焼け爛れていた。
さらに、そこは表皮が焼けてなくなっているので血で赤く滲んでいた。
原因を知った俺の脳は痛みの回線を繋ぎ直したのか
左肩に鋭い痛みが断続的に走り始めた。
「い‥‥痛い‥‥‥痛‥‥い‥‥‥痛‥‥‥‥い‥‥‥よぉ‥‥‥‥‥」
泣き叫ぶ余裕さえない程の痛みに俺は歯を食いしばった。
こんな痛みの中で父さん
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