第41話 暗闇の先へ手を伸ばせば
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夫だよ、ジェーン」
父さんは怪我をしていない右腕で俺を力強く抱き寄せた。
「‥‥‥大丈夫。お父さんたちがきっと守ってあげるから」
さらに抱き寄せる力が強くなる。父さんの胸に
押し付けられて俺は父さんの心臓の音を感じていた。
普段より少しだけ早い。怪我をしているのだから当然だろう。
それでも聞いているだけで、何だか安心できた。
「二人共!急いで逃げるわよ!!」
エリナは焦りの声を上げた。爆発で発生した火の気がここまで来ているのだ。
俺は父さんと急いで火の気と反対の入り口に向かい、そこから外へ逃げ出した。
「‥‥‥ッ‥‥‥熱‥‥‥‥」
入り口を開けた瞬間に熱風が全身を叩いたで、俺は思わず言った。
目の前には、その熱の発生源である炎がいたるところで揺らめいていた。
おそらく、この家と同じような事が他の家でも起こったのだろう。
この家だけでなく、この町の数十ヶ所ある発電機に雷が直撃するなんて
確率的には相当低いだろう。しかし、俺の不幸はそれを確実にする。
『始めから、あたしがこの町に来なければこんなことには―――――――』
俺は自分の行動を悔いた。
「早く逃げるぞ!火で囲まれたら逃げられなくなる!」
そう俺たちに促しながら走っていく走っていくジャックとエリナ。
それについて行こうと俺も走ろうとするが不意に父さんが足を止めた。
「‥‥‥う‥‥‥ぐ‥‥‥ッッ‥‥‥‥‥」
左腕の激痛に父さんは顔を歪ませてうめき声を上げた。
熱風が傷だらけの腕に更なる痛みを加えているのだ。
しかし、それでも今の俺にはこれだけしか言えなかった。
「お父さんっ!早く逃げないと死んじゃうよっ!!」
父さんは俺の顔を見てうなずくと、ゆっくりと走り始めた。
一歩ずつ足を踏み出すたびに激痛が走り、声を漏らしていた。
それでも、それでもなお、父さんは走り続けた。生きるために。
「こっちだ!!」
と、先頭を走っていたジャックが曲がり角を進むと急に歩みを止めた。
俺は追いついて見てみると、そこには人が立っていた。
「‥‥‥‥どうしたの?‥‥おじさん‥‥‥‥」
そこに立つ人を見ているジャックの顔は険しかった。
まるで、そこに立つのが人でないかのように。
「‥‥‥‥チッ、気付かれたか。まぁ、道のド真ん中に
ボーッとつっ立ってりゃ怪しいと思われて当然か」
メキッ!メキメキメキッ!
先程まで人の姿をしていたのに、いつの間にか異形の姿になっていた。
しかし、俺たちはコイツ等の存在を嫌でも知っていた。
地球に攻め込んで多くの国々を消し去った怪物たち。
俺たち地球人はその生物たちをこう呼んだ。
「‥‥‥"侵略虫"‥‥‥‥‥‥」
ジャックは
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