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鎧虫戦記-バグレイダース-
第41話 暗闇の先へ手を伸ばせば
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ずだが、辺りは何故か薄明るかった。
頑丈そうだった壁は弾け飛んで、空いた大穴から風が吹き込んできた。

「‥‥‥う‥‥‥‥だ、大丈夫か、ジェーン‥‥‥」

父さんの声がした。その方向に顔を向けると
肩を押さえてゆっくりと立ち上がっている父さんの姿があった。
左腕には痛々しい傷があった。瓦礫か何かで潰されたのだろうか。

「‥‥‥お父さんは‥‥‥‥?」

俺は無意識のうちに口にしていた。
この姿を見ればどうなのかは俺より小さな子供でも分かるだろうに。

「‥‥‥お父さんは‥‥‥‥‥‥大丈夫だ」

分かっている、やせ我慢だ。鮮血が溢れ出る腕は
痛み以外の感覚はおそらく無いだろう。
それを俺に気にさせまいとしているのだ。

 ガラガラガラッ

「ゲホゲホッ、一体何があったんだ‥‥‥?」
「ゴホッ、ゴホッ、さぁ‥‥‥‥‥」

ジャックとエリナが上に乗っていた瓦礫や木材をどかして
ゆっくりと立ち上がっていた。二人とも体の所々に切り傷があった。
爆発(?)で壊れて飛んできた壁の破片で付いたのだろうか。

「おそらく、雷がこの家のすぐ近くに落ちたのでしょう」

父さんは痛みで顔を少し歪ませたまま自分の仮説を言った。
だが、雷が家の近くに落ちた衝撃でこの頑丈な家の壁が壊れるだろうか。
その仮説が正しいことを裏付ける理由を知っているのだろうか。
夫婦二人は不安げに顔を見合わせた後、ジャックは言った。

「確かその壁の向こうには、大型発電機が置いてあったはずだ。
 もしそれが爆発したってんなら、この威力も納得できる」

この町では、いや、ここ以外でも残った町では
地下にある水道は生きていても、地上に張られた送電線は
"鎧虫"らの侵略時の破壊で断たれているため
各自、もしくは複数の家で発電機からの電力を使って
電化製品を動かしているのだ(それでも一部屋分の電力しか補えないが)。
この家の発電機は、隣にある小屋の中に入れていたため
雨風からは遮られていたが、さすがに雷の直撃は耐えられなかったのか。
それにより爆発。この家を含む周りの家をいくつか破壊したようだ。

「‥‥‥何で‥‥‥‥?」

俺は涙で目を滲ませながらつぶやいた。

「何でいつもこんなことになるの‥‥‥‥‥‥?」

今日、俺が不運に巻き込まれずに済んだ理由が分かった気がした。
上から見ている誰かか、それとも俺自身の負の運命か。
それが、俺を絶望に叩き落としたがっているのだ。
俺の幸せが最高潮になったタイミングを狙って
一気に不幸のどん底へと陥れる。それを見て楽しんでいるのだ。
そう思うと、圧倒的で大きすぎる力に対する自身の無力感で涙が溢れた。

「どうして‥‥‥っ‥‥‥‥‥グスッ‥‥‥‥」
「大丈
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