アインクラッド編
龍皇の遺産
クエストに出掛けよう03
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様らにも襲いかかってくるだろう」
「それがトラップ、ね……」
龍皇が使っていた剣。
興味がないではないけど、近づかないほうが無難だろう。 幸いなことに、こちらから近づかない限りは安全みたいだし、触らぬ神に(いや、影に、かな?)祟りなし。 わざわざ危険を冒す必要はない。
けど、そんな僕の思考を知ってか知らずか、ヴェルンドさんが言う。
「龍皇様が亡くなられて以来、奥方様は悲しみに暮れていてな……。 龍皇様は塔の守護を任されているのだから、いつかそんな日が来ると覚悟はしておられたのだろうが、だからと言って割り切れるものでもない。 せめて形見の品としてその剣を、と思いはするのだが、我だけでは鉱脈に立ち入ることができん。 なあ、人間よ。 これは無茶な頼みではあるが、その剣を取ってきてはくれないか?」
「…………」
僕の無言をどう解釈したのか、ヴェルンドさんは続けた。
「もしも貴様らがあの剣を取ってきてくれれば、相応の礼はしよう。 だから……頼む」
僕はすぐには答えられなかった。
ヴェルンドさんの頼みを聞いてあげたい気持ちはある。 僕だってシステム上のものとは言え結婚しているのだ。 せめて形見を、と言う考えは理解できる。
でも、そう思うと同時に、理性は無視するべきだと言っていた。
70層のフロアボスだった龍皇ーースヴァローグ・ザ・エンペラー・ドラゴンと同等の強さだとするのなら、このクエストが2人パーティー限定なんて言う条件であるはずがない。 フルレイドである48人で挑むべきクエストだ。 2人パーティー限定クエストである以上、それは2人パーティーでのクリアが可能な難易度に設定されているだろう。 そこは今までのSAO生活で得た経験から信じてもいい。
問題はクリア可能なレベルに僕たちが達しているかだ。
僕のレベルは95。 アマリのレベルは97。 レベルやスキルに関しては誰も語りたがらないので正確なところは分からないけど、多分それは、攻略組でもトップクラスのレベルだと思う。 少なくとも、結婚しているプレイヤーに限って言えば、間違いなく最高値のはずだ。
僕たちがクリアできないクエストなら、それは誰にもクリアできないクエストだと、この場合は言い換えてもいいだろう。 でも、だからと言って、油断はできない。
何しろ、ヴェルンドさんの頼みを聞けば、弱体化しているだろうとは言え、スヴァローグ・ザ・エンペラー・ドラゴンとの戦闘が必須になる。 あまりに危険。 あまりに無謀。 そもそも、弱体化している保証だって、あくまで僕の経験則であって、明確に記載されているルールではないのだ。
断ろう。
その結論をヴェルンドさんに伝えようとした刹那、今まで沈黙していたアマリが優しい声音で言った。
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