5部分:第五章
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第五章
それを見届けてから私達は老人の家に戻った。そのうえで見たことを一部始終書き残しそのうえで。あらためて二人で話をするのだった。
「とりあえず風葬なのは事実でしたね」
「そうだな。しかし一つ気になることがあったな」
「気になること?」
「風葬は亡骸を置くと皆去る」
教授が言うのはこのことだった。
「しかし二人残っていたな」
「そういえば」
私は教授の言葉でこのことを思い出したのだった。そういえば二人程後に残っていた。その中には私達を泊めてくれているこの家の老人もいた。
「あれはないのだが」
「見届け人でしょうか」
私はあまり考えることなく述べた。
「あれは」
「そうか?風葬にそんなものがあるのだろうか」
しかし教授は私の言葉に首を捻るのだった。
「普通は置いてそのままにするのだが」
「そういえばそうですけれどね」
私は教授の言葉を聞いて首を傾げた。首を傾げながらどうしても首を傾げずにはいられなかった。言われてみれば確かに、だった。
「じゃああの人達は」
「わからないな」
「ですね」
結局こういう結論になってしまった。私も教授もあの二人の人達の存在には首を捻るばかりだった。そしてそれだけではなかった。
暫く経って夕食の時間になった。そのまま腕を組んで座り込んだ姿勢であれこれと話している私達にまた老人が声をかけてきた。昼と同じく障子の向こう側からだった。
「もし」
「あっ、はい」
「何ですか?」
「夕食ができました」
そういえばそんな時間だった。話を聞いてすぐに思い出した。
「暖かいうちにどうぞ」
「わかりました。それじゃあ」
「ええ、それでは」
私達は返事をしてまずは顔を見合わせた。そしてまた話をするのだった。
「とりあえずは食べますか」
「そうだな」
また頷き合う私達だった。そうしてそのうえで立ち上がって居間に向かった。井端では鍋が煮られていた。中に入っているのは葱や大根、それに蒟蒻に白菜といったものにピンク色の肉だった。そんな肉は見たこともなかった。こんな色の肉は本当にはじめて見た。
「?この肉は」
「何ですかね」
私達はその肉を見て話をするのだった。
「猪?違うな」
「ちょっと違う肉質ですよね」
「ああ」
見ればそうだった。
「かといって鳥でもなさそうだし」
「何ですかね」
「ははは、まあ召し上がって下さい」
しかし私達を案内してくれている老人は明るく笑って私達に話してきた。
「特別に入った肉ですよ」
「特別?」
私も教授もその話を聞いてまた首を傾げさせてしまった。眉もしかんでいるのがわかる。そのうえで老人の話を聞くのだった。
「どんなお肉ですか、一体」
「猪でもないようですし鳥でも」
こんなピンク色の肉ではな
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