暁 〜小説投稿サイト〜
『僕と僕』
『幼少期』

[2]次話


僕が、僕の中の僕を知ったのは、たぶん物心ついて暫くしてからかな。

お母さんは居るんだけど、いつも、テレビとお酒に夢中だった。

お父さんも居るんだけど、殆ど逢えなかった。

お兄ちゃんは、僕が物心着く迄は育ててくれたらしい。

お姉ちゃんは、なんかよく解らないけど意地悪だった。

僕は、毎日毎日、お腹が空いてた。

たまに来てくれるオッチャンが『内緒やで』って、100円玉くれたりした。

確か『お金』ってのも知らなくて、最初は駄菓子屋さんに連れて行ってくれたんだ。

その時『買い物』を覚えた。
そして『紐飴』の甘さも覚えた。

この時、僕は既に、お母さんに期待する事は間違ってると解ってたんだ。

何故か...
僕の中から声がしたんだ。

僕の中から僕の声が。

『お母さんなんて本当は居ないんだよ。頑張って独りでも生きていこうね』って。

たぶん僕は『独りじゃないよ。ちゃんと居るよ』って応えたと思うんだ。

でも、違和感が在ったのも確かだったんだ。

其の『お母さん』が、僕に何かしてくれてるか...考えると何もしてくれてないから。

だから、僕は、僕の中の僕の声に耳を傾けたんだ。



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