暁 〜小説投稿サイト〜
転生とらぶる
Fate/stay night
1130話
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 俺の手の中にあるのは、頭部の原型を失った死体。
 一瞬前までは念動力で動きを止められていたとしても、間違いなく生きていたワカメの死体。
 既に頭部はグシャグシャで、頭部の残骸とでも表現すべき風になっている。
 その血や脳髄で汚れた右手を開くと、頭部の存在しない死体は、グシャリという聞き苦しい音を立てて床へと倒れ込む。

「アーーーークーーーーーーーッ!」

 教室の中に響く怒声。
 その声が誰のもなのかは、考えるまでもなく明らかだった。
 背後では、怒りにまかせてか最後の令呪を使ってセイバーを召喚した衛宮が、厳しい視線で俺を睨み付けている。
 その横には、相変わらず見えない剣を構えたセイバーの姿。
 何があったのかは理解していないのだろうが、それでも俺と敵対しているというのは理解しているのだろう。
 チラリと視線を向けると、凛はまだ魔方陣をどうにかしようとしており、綾子は目を大きく見開き、言葉も出ない様子で俺の方へと視線を向けていた。
 ……凛はともかく、数日前まで一般人だった綾子にはこの光景はちょっと厳しすぎたか。
 そう思ったのだが、何故か綾子は戸惑ったかのように自分の手へと視線を向けている。
 その様子は、とても初めて人が死体になる光景を見てショックを受けているといった様子ではなく、寧ろ何か別のことに衝撃を受けているような……

「答えろ、アーク! 何で慎二を殺した!」
「言うまでもないだろう? 聖杯戦争で敵対しているマスターを殺して何が悪い? それも、こうも一般人を巻き込むような策を使うような奴だぞ」
「それでも! それでも殺す事はなかっただろう!」
「……結局はそこか。なら、お前はどうするつもりだったんだ? あのままだと、間違いなくこのワカメは結界を使って生徒を人質にしていたと思うぞ? お前はその生徒達を見殺しにしたのか?」
「しない! 確かに慎二を止める必要はあったと思う。けど、殺す必要はなかった筈だ!」

 そんなやり取りをしながら、視線を衛宮に向けたままで背後の気配を探す。
 先程吹き飛ばしたライダーが、全く戻ってくる気配がなかった為だ。
 確かに脇腹は吹き飛ばしたが、仮にもサーヴァント。戦闘力は下がるだろうが、その程度の事で死んだりはしないだろう。
 マスターの仇とばかりに襲い掛かってくるかとも思ったけど、その様子も一切ない。
 ……まぁ、あのワカメだ。仇を取りたいと思わなくてもしょうがないか。
 もしも俺がライダーの立場であれば、間違いなくマスターが死んだのをこれ幸いと姿を消して、新しいマスターを探す。
 それにライダーは眼帯をしてはいるが、間違いなく美人だ。男を籠絡するのは難しくないだろう。
 ……まぁ、魔術回路を持ったマスターをどうやって見つけ出すかというのがあるが。
 
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