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EP.2 ワタルの魔法
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150センチはあろうかという大剣を手に、恐ろしい形相でワタルを睨む。
「とっとと観念……む」
もう結果は見えてると言わんばかりに降伏を促そうとしたワタルだったが、リーダーが持つ大剣を見て足と言葉を止める。
「ああ、ホント計算外だ……ガキ相手にこれを使う羽目になるとはなァ!!」
それを隙と見たのか、リーダーは両手で大剣を振りかぶり、ワタルの脳天目掛けて振り下ろした。
怒りで必要以上に力んだ一撃は必要以上に重かったため、身体を捻れば楽に回避できる一撃だ。
「これは……チッ!」
しかし、ワタルは余裕を持ってこれを回避。
舌打ちと共に大きく飛び退くと、大剣が叩きつけられた地面が爆発、周囲に爆炎を撒き散らした。
肌をなめる熱にエルザは驚き思わず声を挙げる。
「炎!? これは魔法、なのか……?」
「滅多にある物ではないが、魔法剣の中には魔水晶を埋め込む事で属性を追加したり威力を上げたりすることができる物もある。あれもその一種だ」
軽い解説を交えたワタルの回答に、エルザはある疑問を覚えた。
なぜ山賊がそんな代物を持っているのか、という疑問だ。
「大方、討伐依頼を受けた魔法剣士を返り討ちにでもして奪ったんだろ」
「魔導士を、山賊が?」
楽園の塔で反乱を起こした際に鎮圧部隊として出張ってきた魔法兵を思い出したエルザは信じられない様子を見せた。あの時はショックで魔力に目覚めたから切り抜けられたが、魔法の強大な力を目の当たりにしているエルザには、魔法の使えないただの山賊が魔導士を倒せるとは思えなかったのだ。
「魔法剣は普通の剣としても使えるけど、その真価は使用者が魔力を込める事で重さ、つまり威力を調節できる点にある」
これは魔法剣共通の性質だ、と鎖鎌を換装しながら続け、ワタルは爆発で巻き上がった砂塵と火の粉の向こうに揺らめく山賊のリーダーの影を睨みながら構える。
「分かるか? 魔力を持たない者が使うならまだしも、ああいう魔水晶でブーストする魔法剣を魔導士が使うって事は、『自分は魔力の還元も碌にできない未熟者です』って言ってるようなものなんだ」
それを逆手にとって油断を誘う、という利点が無いではないが、そんな知恵が回るなら山賊の討伐など容易なものだろう、というのがワタルの見解だった。
第一、懐事情に明るいとは思えない山賊稼業では、魔水晶のストックだって十分な数は用意できるはずもない。生活に使う程度のものなら安く取引されているが、戦闘での使用に耐えうる魔水晶は値が張るのだ。
「このクソガキがあああああああァ!!」
それゆえの切り札、虎の子だったのだが、あっさり躱されてしまい、驚愕と怒りで山賊のリ
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