博麗神社編
プロローグ 〜巻き戻し〜
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「じゃ、行ってくるわ」
「わかった」
「あと、あんまり此処に妖怪を連れて来ないでよね… お人好しなのは良いことだけど」
「違う。お妖怪好しだ」
「誰が上手いこと言えって言ったのよ…」
頭に大きな赤いリボンをのせた、赤と白…紅白の派手な巫女服を着た少女がオレを尻目に空を飛んで離れて行った。
比喩ではなく、彼女は本当に空を飛んだ。本人曰く、能力だと言う。
「おにーさん?」
「あ、ルーミア。おはよう」
「おはよぉ♪」
オレがルーミアと呼んだ少女。先ほどの巫女服とは別の人物、明るい黄色髪の少女… あの巫女よりも幼い。
いつの間にか懐いていたこの子は、毎日のようにオレの所に現れる。しかし、決まってあの巫女が居る時は絶対に現れないのだ。
「私、入っちゃだめ?」
「うーん… 霊夢が帰ってくるまでなら… 大丈夫」
霊夢、先ほどから巫女やら巫女服やらと表現している彼女の名前だ。
ルーミアは自分は家に入っちゃいけない、と言っているが、つまりルーミアは妖怪なのだ。前に聞いた話だが、この子は人喰い妖怪なのだとか… その割にはオレを食べたりしない。
少し前に聞いてみたところ、美味しくなさそうだから、と言われたことは内緒にしておく。
「おっじゃましま〜すっ」
紅い靴を脱いで、紅く小さいネクタイの着いた黒いワンピースを揺らしながら奥へと消えて行った。
「なんで、かな」
これとは少し違うかもしれないけれど、オレは一度同じような経験をしていた気がする。
気付いたらこの世界に居て、霊夢に会って、この博麗神社に住むことになって。掃除させられて… ルーミアに会って。
本当に薄っすらだけれど、この先何が起きるかもわからない。それくらいの薄さだけれど、行うと同時に、懐かしく感じるのだ。
「そう言えば、あれから何日目だろう」
「おにーさーん! はやく〜」
ルーミアに呼ばれて一度思考を停止する。
「わかった。今、行く」
そうだ、まだ一週間も経っていない。
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