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八神家の養父切嗣
六話:ファーストコンタクト
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らな」
「じゃあ、帰ろうか」

 家までの道を歩きながら三人は無言で考え込む。二人は主を救う蒐集の為に。
 一人は目撃者を一人ずつ始末しておいた方がよかったかと。
 犠牲が減るのは大いに歓迎することだが生かした弊害で予定よりも早く闇の書に辿り着かれてしまった。
 
 殺しておけば死体を解剖でもしない限りはリンカーコアを奪われているとは分からない。
 しかし、生き延びたことで目撃証言や何をされたかの証言も容易く手に入れられた。
 完璧を期すなら騎士達がリンカーコアを奪った後に自分達で始末しておけばよかった。
 そう切嗣は思うものの、心のどこかで殺しを行わなかったことに喜ぶ自分に気づき顔をしかめるのだった。





 闇夜に紛れるつもりなど毛頭ないと言わんばかりの炎の様な赤色が夜空に浮かんでいる。
 その隣には巨大な青の獣。鋭い爪と牙が月に照らされ輝いている。

「切嗣が言ってたのはここら辺だよな、ザフィーラ」
「ああ、間違いはない。高い魔力反応も感じる」

 ヴィータとザフィーラは切嗣の情報を頼りに翠屋周辺にまで来ていた。
 後は大量の魔力を持つ相手を倒してリンカーコアを奪うだけだ。
 ヴィータはグラーフアイゼンを握りしめ気持ちを入れ直す。

「我ら二人がかりで一気に決めるか?」
「冗談だろ。あたしたちベルカの騎士に一対一で―――負けはねえ!」
「ふ、そう言うと思ったぞ。ならば私は結界を張っておこう」
「ああ、さっさと終わらせて来るからな」
「気を抜くなよ」

 自身の実力への絶対的な自信、騎士としての誇りから二人は一対一を望んだ。
 それ故に戦闘はヴィータに任しザフィーラは封鎖結界を張る役目をおった。
 ここまでのやり取りをサーチャー越しに監視していた切嗣からしてみれば甘いとしか言いようのない考えだが文句をいう事も出来ない。
 第一結界を張ればサーチャーは押し出されてしまいこれ以上情報を得ることができなくなってしまう。

「どんな奴か知らねーけどはやての為だ。悪く思うなよ」

 小さく呟いた所で赤紫色の結界が天を覆っていく。
 こうすることで結界の中には魔力を持った人間以外存在できないようにする。
 外から入ることは難しくはないが中からでることは決して許さない堅牢な結界だ。

「自分の方から近づいて来てやがるな。売られた喧嘩は買うってか?」

 近場に来れた為に標的がどう動くを観察しているとこちらに近づいて来るのを察知し、相手が血気盛んな人物だと予想する。
 まあ、実際のところは何かあるみたいだから行ってみようという程度の気持ちなのだが。
 とにかく、こちらも遠慮はいらないとばかりに名乗りを上げることもなく誘導弾を放つ。
 
 決闘であれば卑怯者と蔑まれる行為
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