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風葬
2部分:第二章
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のに苦労しています」
 老人は苦笑いになって述べてきた。
「山の下にある川までいってそれでですから」
「そうですか」
「あとは猪に鳥に熊に」 
 話を聞いてそれが狩猟によるものだとわかった。こうした隠れ里のようなところではそうして肉を手に入れるしかないのだから。
「それとあれですかな」
「あれとは?」
「それは時々手に入ります」
 こう私達に話をしてきた。
「時々です」
「時々?」
「はい、何しろ食べ物を手に入れるのに苦労する村ですから」
 老人はふと妙な笑みを浮かべてきた。何故かその笑みには奇怪なものを感じた。そしてそれは私だけでなく教授も同じようで横目で見てみると妙な目の色をしていた。
「それも有り難いことです」
「それは一体?」
「ひょっとしたらそれを食べられるかも知れませんよ」
 老人の奇妙な、いや奇怪な笑みはそのままだった。
「もうすぐね」
「もうすぐですか」
「まあ今日はゆっくりとお休み下さい」
 老人はここで話を終わらせてきた。

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