暁 〜小説投稿サイト〜
東方乖離譚 ─『The infinity Eden』─
第1章:影月異変
episode1:ぶらり幻想出会い旅
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記者としての接し方なので、原作知識でこれが素ではない事を知っているヒメノとしては少々複雑ではあるのだが。
「今日はどういう仕事なんです?」
「人里近くの森に潜んでいる妖怪達の偵察。数が多いらしいから、文に支援頼もうかなって」
「成る程、森に集う妖怪軍団……人里に喧嘩を売る、ですか。これはこれで使えそうですねぇ」
「まぁ、必ずそうと決まった訳じゃないけどねー」
文花帖にメモを取る文に注釈を加えつつ、森の座標を再確認する。
霊能者が指し示したのは、人里の北に位置する無名の森だ。特に強力な妖怪のテリトリーという訳でも無く、近くに危険な場所がある訳でも──
「──あったわ」
「──あやややや……コレは慎重に調査した方が良さそうですね……」
なんとも場所が悪い、その隣に存在するのは花畑だ。
季節に関係無く、向日葵が咲き続ける花畑。それは無論『太陽の畑』であり、同時に
USC
(
アルティメットサディスティッククリーチャー
)
ゆうかりん──もとい、風見幽香のテリトリーなのだ。流石の私と言えどゆうかりん相手に逃げ切れる自信は無いし、文が相手をしてくれたとしても勝てるとは限らない。それ以前に、流石にネタ提供程度で戦うには割に合わなさすぎる。何しろ命が懸かっているのだ。
「流石に幽香さんと戦うのは勘弁ですよ。五倍ネタを提供してくれるなら考えますが」
「考えるんだ……まあ流石に太陽の畑に入るつもりはないよ」
呆れて答えつつ地図を仕舞い、退魔のナイフをホルダーに備えて、ベルトに装着する。
「あやや、見返りさえあれば幽香さんと戦ってみるというのも面白そうだったんですが」
「下手に刺激しないの。……よし、準備OK。じゃあお願い」
「はいはーい。じゃあ行きますよー」
文の背に乗り、衝撃に備える。
次の瞬間には視界が揺らぎ、頭上からの強烈な風圧を受けながら空を駆けていた。
「ぶはっ!?」
「喋らないでくださいねー。舌噛みますから」
顔面に直撃した風圧の塊を耐えつつ、指示された通りに口を閉じる。
と、行動を終えた瞬間には既に辺りは森だった。この速さ、流石天狗と褒めてやりたいところだァ!(伝説のSヤサイ人風に)
「──っ!」
「……文?──って……」
血生臭い。鼻を刺す悪臭が辺りに広がり、紅い血痕が周囲の木々に飛び散っている。
『ソレ』の発生源は、一本の木の根本に広がる背高草の中だった。
ふと、悪臭が消える。辺りの落ち葉が竜巻に巻き上げられたかの如く舞っている様を見ると、文がその能力で風を操り、匂いを散らしているという事は直ぐに分かった。
「──ヒメノさん。見るも見ないも貴女の自由ですが、どちらかと言えば見ない方を勧めます」
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