遺跡出現までの10日間【3日目】 その12
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しかし蹴られた兵士は必死の表情でセルバーニの太い足を両手でつかみ、ナナの方へ向かおうとするセルバーニを止める。
「鬼がぁ……鬼がアアアアアアアアアアアア」
「何を言っている? おい、こいつをつまみ出せ」
「「ハッ」」
鬱陶しそうにセルバーニの放った言葉に2人の兵士は短く答えると恐怖で震えている兵士の肩を掴み立ち上がらせ外へ連れていこうとする。
「嫌だああああああああああ行きたくない来たくない行きたくない来たくない上にはあれがいるあれがあれがおにがおにがああああ」
「ええいうるさい! このキチガイを早くつれていけ!!」
セルバーニはもはや兵士すら見ずにナナに触れながら怒鳴る。
「さぁてぇ……続きを楽しもうかぁ……」
ぐったりとした表情のナナに残忍な笑みを浮かべるとギュっとその太い汗ばんだ腕で抱き着き撫で回す。ナナはそれに必死に抵抗するそぶりを見せたが急にピタリと動くのをやめる。
「グヒヒヒヒいい子だ。観念したかぁ? 」
「…………」
セルバーニが浮かべた惨忍な笑みにナナは反応しない。それどころか先程までの震えが一切消えセルバーニではなくその後ろの方をしっかりと見据えている表情には安堵の表情が浮かんでいる。
「あ”? もっと怯えろぉぉぉぉおおおお!!!」
その反応が気に食わなかったのかセルバーニが太い腕を振り上げる、が――――――――
「んあ?」
その右腕がナナに向かって振りおろされることはなかった。
(手が……動かな……い……?)
自分の右腕が全く動かない事に思考が追い付かないセルバーニがポカンとした表情をしながら後ろを振り向く。
「ひいいいいいいいいいいいいいい!?」
そこには鬼が立っていた。顔中に――――否、全身に大量の血を見に纏い、体全体から怒りと殺意が入り混じったドス黒い感情をむき出しにした鬼が立っていた。
「ボクノナカマニフレルナ」
短く、小さくそれでいて聞く者全てを震え上がらせる様な声色で全身血まみれの鬼が呟いた。
☆ ☆ ☆
ちくしょう、まだそんなに遠くには行ってないはずだ……まだ、まだ追いつける。僕はただがむしゃらに走り続ける。肺に焼け付くような痛みと横腹を刺されたような痛みに歯を食いしばりながらひたすら走る。
くっそ、どこだ。大体僕はここの土地勘が一切ない。奴隷紋があれば場所がわかるがその肝心の奴隷紋は先程自分の手で消してしまっている。
「ん?」
気づけば何人かのエルフに囲まれていた。僕は肩で息をしながらその場に立ち止る。
「へへへ、悪く思うなよあんちゃん。セルバー
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